便秘改善のための下剤の効果と選び方

便秘で悩む人は多くいますよね。
病棟勤務においても、下剤を内服している患者を多くみることがあるのではないでしょうか?

たかが便秘と思っていませんか?
下剤だって、何でも同じだと思っていませんか?

便秘によって選ぶ下剤がかわってくることを知っていますか?
便秘と下剤について詳しくなり、患者の排便コントロールが上手くできるようになりましょう。

下剤の特徴と効果

ここでは、良く使われている下剤について説明していきます。

機械的下剤

機械的下剤は、作用が比較的緩やかで、副作用が少なく、習慣性がないという特徴があります。

①塩類下剤
代表的な薬剤として酸化マグネシウム(マグミッド)があります。
これは、長期使用に際して安全性も比較的高く、習慣性も少ないため下剤の第一選択として使用されることが多いです。
軽症~中等度の慢性便秘に対して長期投与に適した薬剤です。

腸の中に浸透圧の高い物質を入れることで、水分が腸から吸収されにくくなります。
腸管内の浸透圧が高張となると、腸管内に水分が移行するため、腸内容物が軟化されて便が排泄しやすくなったり、内容物が水分を含み膨張することで腸管が刺激されることで排便を促します。

腸管内の水分を増加させて便を軟らかくすることで、排便を促す下剤なのですね。
多めの水分と一緒に内服するとより効果的とされています。

内服に注意する必要がある場合としては、腎機能障害患者での高マグネシウム血症、心機能障害患者での徐脈を誘発させる可能性があります。

②膨張性下剤
代表的な薬剤としてカルボキシメチルセルロース(バルコーゼ)などがあります。
長期使用に際しての安全性が高い治療薬であり、軽症例での長期使用に適しています。12~24時間以内に効果が現れます。

薬剤が腸管内で吸収されず、一緒に服用した水分とともに腸管内で粘性のコロイド液となり、腸内容物に浸透して便の容積を増大させ、腸管に物理的刺激を与えることで排便を促します。

 

刺激性下剤

①大腸刺激性下剤
作用が強力で即効性があり、塩類下剤だけでは排便コントロールがはかれない便秘に対して使用されます。

センノシド(プルゼニド)やセンナ(アローゼン)は、大腸で腸内細菌の作用で加水分解され生成されたアントラキノンが大腸の粘膜を直接刺激する、もしくは腸壁内神経叢を刺激することで腸蠕動が亢進され排便が促されます。
長期連用することで、耐性を生じやすかったり、大腸メラノーシス(大腸黒皮症)という大腸壁が黒く硬くなり蠕動運動が低下した状態となるため便秘が悪化する危険性があります。

ピコスルファートナトリウム水和物(ラキソベロン)は、大腸細菌由来の酵素により加水分解された物質であるジフェノール誘導体が蠕動運動を亢進させ、さらに水分吸収抑制作用を示して便を軟らかくすることにより排便を促します。
アントラキノン系の下剤よりも刺激性が少なく、習慣性が少ないため幼年者や高齢者にもよく使用されます。

 

クロライドチャネルアクチベーター

代表的な薬剤としてルビプロストン(アミティーザ)などがあります。
他の下剤とは異なり小腸で効果を発揮し、慢性便秘に対する自然な排便を促し、長期使用もできる薬剤です。

小腸粘膜のクロライドチャネルを選択的に刺激し、活性化することで腸管粘膜に対して腸液の分泌を促し、便の水分量を増やすことで腸の運動性を高めて排便を促します。
小腸で作用があるため、下痢になりにくいという特徴があります。

 

坐薬

炭酸水素ナトリウム・無水リン酸水素ナトリウム坐薬(新レシカルボン坐薬)は、直腸内で炭酸ガスを発生させることで腸の蠕動運動を亢進することにより排便を促します。

ビサコジル(テレミンソフト坐薬)は、結腸・直腸粘膜に選択的に作用し腸の蠕動運動を亢進させるとともに、結腸腔内における水分吸収を抑制することで排便を促します。

 

浣腸

浣腸には、グリセリン(ケンエーG、グリセリン)があります。
浣腸による排便は、正常の腸反射の回復を妨げるため、一時的な使用とします。

直腸内へ直接薬剤を注入することにより、腸管壁の水分を吸収することに伴う刺激作用により腸の蠕動運動を亢進させます。また、便に浸透することにより軟化・潤滑化させることにより便の排泄を促します。

 

便秘の種類と下剤の選択

機能性便秘

①弛緩性便秘
大腸の蠕動運動の低下により、便が停滞している状態です。
弛緩性便秘では、まずは機械的下剤を用い、効果がなければ大腸刺激性下剤へ変更または追加します。
ルビプロストン(アミティーザ)も有効です。

②けいれん性便秘
大腸がけいれん収縮しており、排便が困難になっている状態です。(過敏性腸症候群といわれる状態です)
けいれん性性便秘では、まずは機械的下剤を用い、効果がなければ過敏性腸症候群治療薬などへの変更が必要です。

③直腸性便秘
排便反射が弱くなり、直腸に便が停滞している状態です。
直腸性便秘では、坐薬または浣腸を用います。

器質性便秘

消化管の器質的疾患(大腸がんやイレウスなど)により、腸管内容物の通過障害が起こっている状態です。
器質性便秘では、原因疾患の解消が必要です。

症候性便秘

神経、内分泌、代謝性疾患、膠原病などの疾患の部分症状として生じる二次的な便秘です。
症候性便秘では、原因疾患の解消が必要です。

薬剤性便秘

薬剤によって引き起こされる便秘です。
薬剤性便秘では、まずは原因となる薬剤を中止できないかを検討します。

便秘の原因となる薬剤のとしては、以下のようなものがあります。
・鎮痛薬、麻薬
・抗うつ薬、抗不安薬、抗精神病薬
・パーキンソン病治療薬
・抗コリン薬
・利尿薬
・Ca拮抗薬
・筋弛緩薬    など

 

まとめ

内服による下剤は、基本的に弛緩性便秘に対して使用されます。
その中でも、どのような便秘なのかをアセスメントして、下剤を選択していくと有効な排便コントロールが図れますね。

また、薬剤を使用するだけではなく
・適度な運動による腸運動の活性化、腹筋強化
・食事療法(水分摂取、食物繊維・ビフィズス菌・オリゴ糖の摂取)
・便意を逃さないようにする、毎日同一の時間に排便を試み周期的便意を習得するなどの排便習慣の確立
・ストレスの発散
などの生活習慣の改善も、便秘に有効であるため薬剤だけではなく一緒に行ってみてもいいと思いますよ。

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