中心静脈カテーテルを挿入し、高カロリー輸液を行なっている患者でも経鼻栄養などを挿入し経管栄養を行う場合はありませんか?
医師の考えによっても、そのような患者に対して経腸栄養を行うのかは判断が異なるかもしれませんが、経腸栄養を行うことはそれなりにメリットがあるため行われています。
今回は、経腸栄養の優れたことについて説明していきたいと思います。
目次
腸管を刺激して、腸蠕動を促す
経腸栄養では腸管に栄養剤を直接投与するため、消化管の刺激となり便秘の予防になります。
中心静脈栄養のみでは、消化管が使用されず刺激に乏しいため便秘になりがちです。
腸内細菌を刺激して免疫力の向上につながる
腸管には重要な免疫機構が備わっており、その免疫機構を活性化するために腸内細菌は重要な役割を担っています。
経腸栄養の栄養剤は腸内細菌が働くための栄養源にもなっています。
粘膜を刺激するため腸粘膜の萎縮予防になる
腸粘膜が萎縮すると本来備わっている腸のバリア機能が破綻し、腸内細菌の制御が効かなくなり、過剰な免疫反応が出たり、炎症を起こしてしまう可能性があります。
中心静脈栄養よりも感染リスクが低く管理が容易
中心静脈カテーテルは常に感染リスクが付き纏っており、定期的な消毒が必要です。
そして、どんなに管理を厳重にしているつもりでも、カテーテル感染は起きてしまうものです。特に鼠蹊部に挿入されていると、おむつ使用中の場合、尿や便の汚染が起きやすいです。
また、抜かれると体位によっては空気塞栓などのリスクもあり、非常に管理に神経を尖らせる必要があります。
それに比べると、経鼻カテーテルなどは感染リスクは低く、抜かれても再挿入すればいいだけです。
(栄養剤投与中に抜かれると誤嚥のリスクですし、抜かれた場合には患者に再挿入という負担をかけ、インシデントにもなるためけっして抜かれても良いものという意味ではありません)
まとめ
経腸栄養のメリットとしては、主に免疫や消化管機能維持に関するものでした。
人間の身体では、使用しない部位は萎縮して機能も低下していってしまいます。
一つ例を出すと、寝たきり患者の腕や足などが極端に細くなっていると思います。
それは、筋肉を使用しないため萎縮してしまっているせいです。
経腸栄養を利用することで身体機能維持につながるというメリットがあるということを知って頂けたかと思います。
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