冠動脈とは、どんなものなのか?
実は、番号が付けられており、治療の際にはどこを治療するのかの目安になることなど知っていますか?
今回は、冠動脈についてです。
目次
冠動脈とは
心臓は全身に血液を送るポンプのような役割をしています。そして、心臓がその役割を果たすためにかなりの運動量をこなしています。そのため、心臓自体にも栄養や酸素を含む血液を必要としているのです。
そして、冠動脈とは、心臓が動くための酸素や血液を送るための栄養血管です。
心拍出量の約5%は、冠動脈へと流れていくことを考えると、心臓の運動量の多さが分かりますね。
冠動脈は、大動脈起始部の膨大部(バルサルバ洞)から左右に分岐し、右冠動脈(RCA)と左冠動脈(LCA)となります。
大動脈から分岐した左冠動脈は、左冠動脈主幹部(LMT)を経て、左前下行枝(LAD)と左回旋枝(LCX)へと分かれます。
それぞれの冠動脈が血流している心臓の部位としては以下のようになります、
- 右冠動脈(RCA):右心室前壁、側壁下壁
- 左前下行枝(LAD):左心室前壁、中隔前壁
- 左回旋枝(LCX):左心室側壁、後壁の一部
この冠動脈が、閉塞または狭窄することによって心筋梗塞や狭心症といった虚血性心疾患となります。
冠動脈の生理
心臓は、酸素をエネルギー源として1日約10万回も収縮・弛緩を繰り返します。
絶え間なく動いているため、人間の臓器のなかでも心筋の酸素摂取率が最大です(心拍出量の約5%)。
さらに、心筋には酸素を貯蔵する機能がないため、心筋の酸素需要に応じてその都度、酸素供給がされなければなりません。
多くの調節機構によって冠動脈の血流は調節されており、安静時の血流を1とすると、正常冠動脈では最大4~5倍まで増加できるようになっています。これを「冠血流予備能」といいます。
冠動脈が動脈硬化で狭窄したり、調節機構が障害されたりすると冠血流予備能が低下して虚血性心疾患を発症します。
冠動脈の番号
AHA(アメリカ心臓協会)では、冠動脈主要3枝を、さらに#1~15に分類していています。
心臓カテーテルの際などには、医師のカルテや検査結果でも、この番号で病変部位を示されることが多く覚えておくと役に立ちますよ。
右冠動脈(RCA)
#1右冠動脈(近位部)
#2右冠動脈(中央部)
#3右冠動脈(末端部)
#4AV房室結節枝…2手に分かれて上にいく方
#4PD後下降枝…2手に分かれて下にいく方
左冠動脈(LCA)
#5左冠動脈主管部(LMT)
左前下行枝(LAD)
#6左前下行枝(近位部)
#7左前下行枝(中央部)
#8左前下行枝(末端部)
#9第一対角枝(D1)
#10第二対角枝(D2)
左回旋枝(LCX)
#11左回旋枝(近位部)
#12純縁枝(OM)
#13左回旋枝(末端部)
#14後側壁枝(PL)
#15後下降枝(PD)
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