ペースメーカーのフュージョンという言葉を聞いたことがありますか?
ペースメーカーを扱う施設に勤務している場合には覚えておいた方がいいフュージョンという現象について説明していきます。
目次
ペースメーカーのフュージョン(fusion)とは
ペースメーカーのフュージョンとは、自己心拍とペーシングスパイク(ペースメーカーからの電気刺激)が同時に生じることにより起こる現象です。
通常ですと、徐脈の際にペーシングスパイクが入るのですが、
例えば、ペースメーカー設定が60ppmで、自己心拍が60ppmのペースで出現する場合、自己心拍とペースメーカースパイクが同じタイミングで発生してしまいますよね。
また、設定されているAVディレイとP波の後のQRS波が発生するタイミングが同じ場合にもフュージョンが起こります。
どのような波形になるかというと下図のようになります。
フュージョンを判断するポイント
①ペーシングスパイクと自己QRS波が同時に発生している。
このフュージョンが起こること自体は身体に何の影響もありません。
しかし、身体に影響が無いからといって、何の問題も無いのかというとそうではありません。
ペーシングスパイクが生じているということは、その分だけペースメーカーの電池が消耗していることになります。
ペースメーカーは電池で動いているため、電池が切れると新しいものに入れ替えしなければなりません。
不必要な電池の消耗はできるだけ無いほうがいいですよね。
フュージョンを判断するために知っておきたいこと
- ペースメーカースパイクが入ることによる起こるペーシング波形は幅の広いQRS波(ワイド QRS)となります。しかし、自己心拍による波形は幅の狭いQRS波となります。
- フュージョンを判断するために12誘導心電図をとるといいでしょう。(12誘導心電図では12方向からの心電図波形を表すため異常があった場合に発見しやすい)
- ペースメーカーの寿命は、モードや設定、メーカーにもよりますが5~10年といわれています。
フュージョン(fusion)を見たときの対応
フュージョン発生の危険度は小です。
フュージョンを見つけた場合には、主治医へ報告しましょう。
必要に応じて主治医からME(臨床工学技師)や業者のプログラマーに連絡してペースメーカーの設定を変更します。
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