体外式(テンポラリー)ペースメーカーとは

ペースメーカーといえば、一般的には皮膚の下に埋め込んでいる植込み型ペースメーカーを想像すると思います。
しかし、病院においては、緊急で機械による補助ペーシングが必要な場合があります。

そのようなときには、今回の題材である体外式(テンポラリー)ペースメーカーを使用することになります。

目次

体外式(テンポラリー)ペースメーカーとは

体外式ペースメーカーとは、テンポラリーペースメーカー(TPM)とも呼ばれ、ペーシングリードを右心室内に挿入し、体外に一時的に設置したペースメーカー本体から設定などを調節できるものをいいます。

テンポラリーペースメーカーの適応となるのは徐脈系の疾患で、緊急に治療が必要で、植込み型ペースメーカー留置の間までの間使用する場合と、薬剤などの調節により経過と共に徐脈の回復が見込める場合などに使用されます。

主なテンポラリーペースメーカーの適応疾患としては

  • 洞不全症候群(SSS)
  • モビッツⅡ度房室ブロック
  • 完全房室ブロック(Ⅲ度房室ブロック:CAVB)
  • 徐脈性心房細動(AF)

などです。
また、心筋炎や心筋梗塞の右冠動脈領域の病変などでも徐脈性の不整脈になる場合があるため、徐脈が回復するまでの間は一時的に使用したりします。

テンポラリーペースメーカーは、体外にリードがつながっているため、長期間の使用では感染などのリスクが高くなるためできる限り短期間で抜去することが望ましいといわれています。(72時間以上の使用で合併症のリスクが高くなります。)

テンポラリーペースメーカーは一時的に使用するものですので、「一時的ペースメーカー」といわれます。それに対し、植込み型ペースメーカーは「永久ペースメーカー」といわれます。

ペースメーカーとは

 

 

特徴

テンポラリーペースメーカーを植込み型ペースメーカーと比べた時の特徴としては下記のものがあります。

  • 植込み型ペースメーカーに比べ短時間で挿入することができる。
  • リードが体外につながっているため感染などの合併症のリスクがある。
  • 必要時、体外にある機械で設定値を変更できる。(植込み型ペースメーカーでは設定変更の際には専用の機械を使う必要があります。)
  • 挿入部位によってはADLが制限される場合がある。
  • リードは心室にのみ留置される。(そのため、設定としては基本的にはVVIです。)
  • リードが心筋に固定されないため容易に、リード先端部が移動する。(一時的に使用するため抜去する必要があるため。植込み型ではリード先端がスクリューなどのようになっておりしっかりと心筋に固定される。)

ペースメーカーの代表的なモード②VVI

リード挿入に使用される静脈

静脈系から挿入するため、どこの静脈でも挿入することが可能です。

しかし、管理などのしやすさから内頸静脈(特に右)や大腿静脈より挿入することが一般的です。

 

テンポラリーペースメーカーの基本設定

テンポラリーペースメーカーで設定する項目としては

・レート設定
1分間当たりの心拍数を設定します。

・出力設定(Output)
心臓を動かすために、ペースメーカーより流す電気の量をいいます。

・感度設定(Sensitivity)
ペースメーカーより電気を流す必要があるのかを判断するために、自己心拍(自己QRS波)を感知する感度をいいます。

 

ペースメーカーの出力と感度とはーペーシングとセンシングの閾値

観察項目

①フェラーの有無

テンポラリーペースメーカーは、リードが心筋に固定されていないために、リードの先端が移動してしまい上手くセンシング・ペーシングができなくなる場合があります。

心電図波形で、フェラーの有無を観察する他、レントゲンでリード先端の位置を確認、リード挿入部が抜けてきていないか、自覚症状やバイタルサインを観察します。

異常があった場合には、医師へ報告し、ペースメーカーの設定変更が必要であったり、万が一、抜けてしまっている場合や断線してしまっている場合などには再挿入などが必要な場合があります。

ペースメーカーのフェラー③オーバーセンシング

ペースメーカーのフェラー②アンダーセンシング

ペースメーカーのフェラー①ペーシング不全

②感染

リードが、体外へとつながっているため感染リスクはあります。

リード挿入部の発赤・腫脹・熱感・疼痛がないか、バイタルサインで発熱はないかを観察していきます。

③気胸・血胸・空気塞栓・心タンポナーデ

これは、テンポラリーを鎖骨下静脈から挿入する場合に起こりやすい合併症です。

リード挿入時に肺や周辺の血管を損傷して、気胸や血胸を起こすことがあります。また、まれに心タンポナーデを起こすこともあります。

そのため、呼吸状態を観察することも必要です。

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