心疾患の患者さんに対して、肺野の聴診を行いますよね。
その際に、知っておくと便利なKillip(キリップ)分類についてです。
目次
Killip分類とは
Killip分類とは、肺野のうっ血所見の有無によって心不全の重症度を分類したものです。
これにより、聴診所見のみでも短時間に重症度を判断する材料となります。
主に、AMI(急性心筋梗塞)に伴う急性心不全の重症度を把握するために用いられます。
Killip分類は、以下のように分けられます。
group | 臨床症状 |
Ⅰ群 | ラ音なし(心不全所見なし) |
Ⅱ群 | 肺野全体の1/2以下でラ音聴取 (軽度~中等度の心不全所見) |
Ⅲ群 | 肺野全体の1/2以上でラ音聴取 (重症の心不全所見で肺水腫の状態) |
Ⅳ群 | ショック症状(心原性ショック) |
Ⅲ群で約40~60%、Ⅳ群で60~80%の死亡率であるため迅速な対応が必要となります。
肺水腫とは
肺水腫とは、肺血管の外に血液成分が漏出し貯留してしまった状態をいいます。
心不全では、肺うっ血により、毛細血管圧が上昇することによって生じ、呼吸困難などの症状を引き起こします。(心不全の中でも、特に差心不全によく見られます。)
心原性ショックとは
心臓自体の機能が低下することにより、血液を全身に送るポンプとしての作用が障害され、頻脈の他、肺や下肢をはじめとした全身のうっ血、肺うっ血による呼吸困難などが生じます。
このような、心臓自体のポンプ機能の障害によるショック状態を心原性ショックといいます。
心原性ショックのでは、ショック全般でみられるショックの5P(蒼白、虚脱、脈が触れない、冷汗、呼吸障害)の他に、血圧低下(90mmHg以下)や意識レベルの低下、尿量の減少などが見られます。
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