ストーマパウチ交換と看護とは

※ここでは、消化管ストーマのパウチ交換についての手順について掲載しています。

目次

目的と適応

目的

  • ストーマおよびストーマ周囲の皮膚を観察し、その状態を把握する。
  • ストーマ周囲皮膚の清潔を保つ。
  • 排泄物の漏れを防止する。
  • ストーマの異常の早期発見。

 

適応

  • 消化器疾患でストーマを保有しており、排泄経路を変更された患者。

 

必要物品

・交換用のストーマ装具一式
・はさみ(できればストーマ専用のもの)
・定規またはノギス
・油性マジック
・シャワーボトル
・微温湯
・キッチンペーパー
・トイレットペーパー またはティッシュペーパー
・石けん
・ビニール袋
・使い捨て手袋
・ディスポーザブルシーツまたは紙おむつ
・掛け物(バスタオルなど)
・ビニールエプロン
・マスク

《必要時》
・粘着剥離剤
・ストーマサイズスケール
・皮膚保護材
・消臭潤滑剤

 

手順

1.必要物品を準備する。

2.手指消毒後、個人防護用具(手袋やビニールエプロン)を着用する。

患者自身がストーマパウチ交換を行う場合には、個人防護用具の着用は不要である。患者に実施前後の手洗いを促す。

個人防護用具の着脱ースタンダートプリコーション(標準予防策)の実施

感染予防のための衛生学的手洗い

3.目的を説明し同意を得る。

4.環境を整える

①羞恥心に配慮して、カーテン、ドアを閉めプライバシーを保護する。

食事の時間などは避ける。また、可能な場合は個室や処置室で行い、多床室で行うことは避ける。

②患者を仰臥位や座位など、安楽な体位として、ストーマパウチ交換を行いやすいよう衣類を整えタオルなどを掛ける。また、ベッドを看護師の処置しやすい高さにする。

③ストーマ部位側の身体の下に防水シートなどを敷く。

※ストーマ袋内に潤滑剤や消臭剤を使用している場合もあるため、患者に確認し必要時には使用する。

5.古いストーマパウチを除去する。

①片手で面板を持ち、もう片方の手で皮膚を押さえ、粘着剥離剤を使用しながら剥がす。剥がし始める位置を毎回少しずつ変え、皮膚にかかる負担が1ヵ所に集中しないようにする。

剥離刺激が皮膚障害の原因となる。また、剥離により疼痛を感じるため剥離剤を使用すると良い。

②剥がした面板の裏面(皮膚に張り付いていた部分)を観察し、皮膚保護材の溶解部分や方向、膨潤の程度、排泄物の付着の有無を観察する。

・皮膚保護材の溶け具合により、面板の交換間隔が適当かどうかを確認できる。
・溶解部分が穴から1cm以内のうちに交換することが、皮膚障害・漏れ予防になる。一方向に溶解が進んでいる場合には、腹壁のしわやくぼみが影響して排泄物が漏れている可能性がある。

③ストーマ周囲の便をガーゼでぬぐい、ストーマとストーマ周囲の皮膚、排泄物を確認する。

ストーマ周辺の皮膚はパウチにより密閉環境下にあり、排泄物にさらされやすい状況にある。また、ストーマパウチ交換を定期的に行うことから物理的な刺激を受ける。そのため、皮膚が正常に保たれているか、かゆみがないかなどの症状をあわせて観察する。

④面板の粘着面を二つ折りにして貼り合わせ、ビニール袋に捨てる。

⑤泡立てた石けんでストーマ周囲皮膚を、円を描くように洗浄する。

・十分に泡立てることで、洗浄効果を高めるとともに皮膚への刺激を和らげる。
・便は大腸菌などの菌が含まれているため、ストーマより遠い位置からストーマに向かって洗浄する。

⑥ストーマ周辺の皮膚を十分に乾燥させる。

6.ストーマの根元に定規やノギスをあてて、ストーマのサイズ(縦・横・高さ)を計測する。

7.面板の裏紙に測定したストーマの外形を円形・あるいは楕円形に描き、描いた線に沿って面板をカットする。カット後、裏紙を貼ったままストーマにあててみて穴がストーマのサイズに合っているかを確認する。

・カットが大き過ぎると隙間が生じ排泄物による皮膚障害の原因となり、カットが小さ過ぎるとストーマ粘膜損傷の原因となる。
・ストーマ孔でストーマ粘膜を損傷しないよう、ストーマ孔は結腸ストーマでは2~3mm、小腸ストーマでは1~2mm大きくする。

8.ストーマパウチの面板を貼る。

①面板の裏紙を剥がして、面板の穴の中央にストーマがくるように、下側の貼付位置を決める。

②腹部のしわを十分に伸ばして、面板を下の方からゆっくりと上方へと貼り付ける。

面板の穴の周囲がストーマに接触しないように注意する。

③皮膚保護材の部分を中心部分から外側へストーマ近接部をよくなでて面板をなじませる。

手でなでませることにより、体温の熱で密着しやすくなる。

8.ストーマの排出口を封鎖する。

臥床患者の場合は、ストーマ袋を横に向けて取り付けると、寝ている状態での排泄物処理が容易になる。

9.使用済み物品などを適切な方法で片付ける。

排泄物が入ったまま廃棄できるのは病院だけである。退院後の自宅では廃棄物はトイレへ流してから使用済みパウチを廃棄する必要がある。

10.患者の寝衣、体位を整え、処置が終了したことを告げる。

11.実施した内容について記録を行う。

 

動画

 

注意事項

  • 消化管ストーマでは、腸蠕動が活発になり排泄の可能性が高い食後2時間以内の交換は避ける。
  • 装具交換の目安としては、溶解・膨潤部が1cmを超えるまでに交換する必要がある。一般的には3~7日ごとに行っている。

 

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