感染予防のための衛生学的手洗い

目次

目的と適応

目的

手指に付着した病原微生物を除去し手指の衛生状態を保つことで、手指を介しての交差感染、接触感染を防止する。

 

適応

・患者との直接的な接触の前、患者に直接接触した後
・無菌操作の前
・体液、分泌物、粘膜、傷のある皮膚に接触した後、および創部のドレッシング材に接触した後
・患者の周辺の物品(医療機器も含む)に触った後
・ケアの最中に汚染された身体部位から清潔な部位へ移動する場合
・手袋を外した後

《流水と石けんによる洗浄が適応となる場合》
・目に見える汚れ(有機物)がある場合。蛋白様物質あるいは血液やそのほかの体液で汚染されている場合
・食事の前
・トイレの後
・アルコール抵抗性の微生物であるクロストリジウム属の細菌や、ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスの感染が疑われる患者に接触した後

 

手洗いの種類

①日常的手洗い
普通石鹸(非抗菌性)と流水による手洗いで、汚れおよび一過性微生物の除去を目的としている。

②衛生学的手洗い
抗菌性石鹸と流水による手洗い、擦式消毒用アルコール製剤を用いた手指消毒で、一過性微生物の除去あるいは殺菌を目的としている。

③手術時手洗い
手指消毒薬を用いて120秒以上こすり洗いするか、アルコールベースの手指消毒薬を20秒以上かけてすり込む方法で行う。
一過性微生物の除去や殺菌、皮膚常在菌を著しく減少させ抑制効果を持続させることを目的としている。

必要物品

  • 擦式手指消毒用アルコール製剤
  • 液体石鹸(衛生学的手洗いの場合は抗菌性のものを使用する)
  • ペーパータオル

手順

石鹸と流水による方法

1.指輪、時計、ブレスレットなどの装身具を外し、長袖の場合には袖をまくる。

・指輪や腕時計などは邪魔になり、十分な手指衛生ができないため外すことが望ましい。
・指輪の内側にはグラム陰性桿菌や黄色ブドウ球菌など様々な菌が保菌されており、手指消毒後の菌数も、指輪をしていない人と比べて多いとされている。
・爪の内側は細菌汚染しやすいため、爪は常に短くし、付け爪やマニキュアはつけない。

2.両手を流水でぬらす。

・手に付いた汚れを洗い流すことで、洗浄が効果的に行える。
・蛇口は汚染されやすい場所のため、水道は蛇口に触れないで操作できるペダル式かセンサー式がのぞましい。
・シンクの内側は汚染されていると考える。
・熱めの湯の使用は、繰り返すと手荒れのリスクが増すので避けた方がよい。

3.液体石鹸を片手に規定量(3~5ml程度)とり、よく泡立てる。

・固形石鹸では水切れが悪く、グラム陰性桿菌の温床となり清潔を保つことが難しいため使用しないことが望ましい。
・液体石鹸の継ぎ足し時の汚染による細菌の繁殖の可能性があるため、液体石鹸の注ぎ足しはせず、ボトルごとに交換する。

4.15秒以上、手指の全表面を泡で優しく洗う。
・指を交差させて指間を洗う。
・手背を洗う。
・指先を立てて洗う。
・拇指をねじるように洗う。
・手首を洗う。

指先、指の間、拇指、手首は洗いの残しが多い部分であることを留意し、洗い残しがないよう細部まで泡をいきわたらせるようにしてよく洗う。

5.流水で手をすすぐ。

石鹸成分が残っていると手荒れの原因となるため

6.ペーパータオルで優しく押さえて指先から手首に向けて水分をふき取る。

・タオルの共用は菌を伝播を促進させるため避ける。
・濡れた手は、微生物をより多く伝播させるため良くふき取る。

7.蛇口を閉める。

・水道がセンサー式でない場合、使用したペーパータオルを巻いて直接触れないようにする。
・蛇口は汚染されやすい場所のため、手洗い後は直接触れない。

 

擦式消毒用アルコール製剤を用いる方法

1.指輪、時計、ブレスレットなどの装身具を外し、長袖の場合には袖をまくる。

・指輪や腕時計などは邪魔になり、十分な手指衛生ができないため外すことが望ましい。
・指輪の内側にはグラム陰性桿菌や黄色ブドウ球菌など様々な菌が保菌されており、手指消毒後の菌数も、指輪をしていない人と比べて多いとされている。
・爪の内側は細菌汚染しやすいため、爪は常に短くし、付け爪やマニキュアはつけない。

2.擦式手指消毒薬を、片手に規定量とる。

・アルコール製剤が手指全体に接触する十分な量を使用する。適量は約3mlとされている(手の大きさなどによって左右される)。
・量が少ないとすぐに乾燥してしまい、消毒効果が不十分となる。メーカーの指示量を手にとり、20~30秒擦り合わせて乾燥させることが推奨されている。
・残量が少なくなっても、注ぎ足しはせず使い切り、ボトルごと交換する。使用期限があるため開封時には開封日を記載する。

3.手指にアルコール製剤をすり込む。
・皮膚と爪の間に薬液が浸透するよう指先を薬液に浸す。
・手指の全表面にくまなく広げる。
・指を交差させて指間に擦り込む。
・手背に擦り込む。
・拇指をねじるように擦り込む。
・手首に擦り込む。

・洗浄のときと順番が異なり、最初に細菌が繁殖しやすい皮膚と爪の間に薬液を浸透させることで、殺菌効果を発揮させる。
・指先、指の間、拇指、手首は洗いの残しが多い部分であることを留意し、アルコール製剤をすり込む。

4.完全に乾燥させて終了する。

・消毒薬は乾燥してから消毒効果を発揮する

 

動画

手洗いの注意点

  • 洗い残しの多い部分(指先、指の間、拇指、手首)を把握し、洗い残しがないよう注意する。
  • 一処置一手洗いを徹底する
  • ハンドクリームやハンドローションを用いてハンドケアを行う。(皮膚が傷つくと常在菌叢が変化し、黄色ブドウ球菌やグラム陰性桿菌がより定着しやすくなる。)

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