血圧の正常値とアセスメントとは-低血圧と高血圧の原因や症状と看護

 

目次

血圧測定について

心臓は、収縮と拡張を繰り返すことにより全身の組織に血液を送っています。

その血液が身体に行き渡っているのかを把握するために脈拍や血圧を測定します。

血圧測定では、血圧計を用いて測定を行います。

上図のような水銀血圧計を使用して測定を行います。

最近では電子血圧計を使用している施設がほとんどだとは思いますが・・・。

 

血圧測定では、心臓が収縮して血液を押し出す時の一番高い血圧である収縮期血圧と、逆に心臓が拡張した時の一番低い血圧である拡張期血圧を測定しています。

そして、血圧は「心拍出量」と「末梢血管抵抗」で決められています。

血圧=1回心拍出量×末梢血管抵抗

この中で1回心拍出量は「前負荷」「後負荷」「脈拍」「心筋収縮力」が影響しています。

 

血圧の値での分類を示します。

分類 収縮期血圧(mmHg) 拡張期血圧(mmHg)
至適血圧 <120 <80
正常血圧 <130 <85
正常高値血圧 130~139 85~89
Ⅰ度高血圧 140~159 90~99
Ⅱ度高血圧 160~179 100~109
Ⅲ度高血圧 ≧180 ≧110
収縮期高血圧 ≧140 <90

 

血圧は時間や環境によっても変化します。

たまたま測定した時が高かった、または低かったという場合もあります。繰り返して測定した平均値によって高血圧や低血圧などの診断がされます。

 

低血圧のアセスメント

低血圧とは収縮期血圧が100mmHg以下の状態を指します。

低血圧であっても症状の訴えがなければ問題となることは少ないですが、循環器疾患の患者などでは心機能低下による低血圧の可能性もあり重要な値です。

原因としては、様々な異常が挙げられますが、大部分を占める原因がはっきりとしない本態性低血圧と、原因がある二次性低血圧に分類されます。

ここでは、二次性低血圧のアセスメントをしていきますね。

心拍出量減少による低血圧

心拍出量が減少してしまった場合には、1回心拍出量が減少してします。その原因としては、心筋収縮力の低下や頻脈性不整脈の状態が考えられます。

心筋収縮力とは、心臓が収縮と拡張を繰り返す力のことです。

心筋収縮力が低下する病態としては、心筋梗塞や心筋症などのように心筋自体が障害される病態、心臓弁膜症などのように心臓に存在する弁が傷害されることにより収縮力が低下するような病態が考えられます。また、頻脈性の不整脈により有効な血液の拍出が行われないために血圧が低下する場合もあります。

このように、心臓自体のポンプ機能の障害によるショック状態を心原性ショックといいます。

 

心筋収縮力が低下するもう一つの原因としては、心臓自体の障害はないのですが、何らかの原因で心臓に強い圧力がかかることにより心臓自体のポンプ作用が妨げられ、血液を送り出すことができなくなり心拍出量が低下してしまいます。

疾患の例としては、心タンポナーデ(心嚢内に液体または気体が貯留することにより、心臓が圧迫されてしまう)、緊張性気胸(肺胞が破れたことにより、胸腔内に気体が貯留し胸腔内圧が上昇することにより心臓が圧迫されてしまう)、肺血栓塞栓症(血栓により肺動脈が閉塞してしまうため、酸素を取り込めなくなったり心臓から血液を押し出せなくなり、心臓のポンプ機能を妨げてしまう)などによる病態が考えられます。

このように、心臓のポンプ機能には異常はなく,心血管系回路の閉塞や周辺からの圧迫により心拍出量が低下して生じるショック状態を心外閉塞・拘束性ショックといいます。

 

循環血液量減少による低血圧

循環血液量は、血液が全身をめぐった後に静脈系から心臓に戻ってくるため、前負荷と呼ばれます。

前負荷は、厳密には心室が収縮を始める前に心室へ血液が流入した血液量を指します。

 

静脈系から戻ってくる血液が多いほど循環血液量も多いことになります。

逆に、循環血液量が少ないほど静脈系から戻ってくる血液量も少なくなってしまうことになります。

 

出血や脱水などの場合には、体外へ血液や水分が排出されていますので循環血液量は低下してしまいます。

そのような場合には、心臓は少量の血液しか駆出することができないため血圧も低下してしまいます。

このように、循環血液量が減少し血圧が低下した状態を循環血液量減少性ショックといいます。

 

血管拡張による低血圧

全身に血液を送り出す時に、心室にかかる負荷を後負荷といいます。

厳密には、心室が末梢血管抵抗に逆らって血液を駆出するために必要な圧力が後負荷と呼ばれます。

 

動脈硬化などにより、末梢血管抵抗が増加した状態では血液を駆出する際に大きな力が必要なため後負荷が増加するということになります。これは、高血圧の原因となりますね。

では、低血圧の場合にはどうでしょう?

末梢血管抵抗が低下した状態で血圧は低下します。

末梢血管抵抗が低下した状態とは、簡単にいうと血管が拡張した状態をいいます。想像してみてください。同じ圧力で同じ量の水を流すのに、細いホースと、太いホースではどっちが楽に流すことができますか?太いホースの方が楽に流れますよね。それは、太いほうが圧力がかからないからです。

血管拡張する原因としては、硝酸薬などによる薬剤性、入浴などによる温暖な環境によるもの、アルコールの血管拡張作用のあるものを摂取したことよるものなど・・・さまざまありますね。

疾患による重症なものとしては、感染性ショックによりサイトカインなどの働きにより末梢血管が拡張する場合や、アナフィラキシーショックの状態により、血管の拡張が起こり血管内容量(血液が必要な量)が増えた状態があります。

 

循環血液量が同じでも血管が拡張している場合には、心臓へと戻ってくる血液量は少なくなります。そうなると、心臓は少量の血液しか駆出することができないため血圧も低下してしまいます。

 

このような、末梢血管が拡張して起こるようなショックを血液分布異常性ショックといいます。

ちなみに、ショック状態というものは基本的には四肢の末梢が冷たくなります。しかし、血液分布異常性ショックの初期では血管拡張の起こるため、末梢は温かいままで「温かいショック(ウォームショック)」とも呼ばれます。

 

自律神経障害による低血圧

自律神経障害によっても低血圧が生じることがあります。

その中で一番多いことは起立性低血圧だと思います。

起立性低血圧とは、臥位から立位へと体位が変わる時に収縮期血圧が20mmHg以上、拡張期血圧が10mmHg以上低下するような状態を指します。

起立性低血圧の原因は自律神経の障害であり、糖尿病やパーキンソン病の患者や、薬剤性によるものが多く見られます。

臥位から、座位や立位へと体位を変える時には血液は重力により下肢の方へ流れようとします。健常な人では、自律神経の緊張により血管収縮が生じ脳や心臓をはじめとする上半身へ血流を維持しようとする働きが起こる。

しかし、自律神経の障害がある場合には、その働きが乏しいため血管収縮が遅れてしまい上半身への血流が維持されず血圧低下により脳虚血が起こり、めまいやふらつきが生じてしまいます。

 

その他にも、自律神経障害により食後腸管への血流が増加し一過性に脳虚血になる場合があります。

 

高血圧のアセスメント

高血圧とは、異常に高い動脈内圧が持続してしまう状態であり、その高い圧負荷によりさまざまな臓器の障害が生じてしまう病態をいいます。高血圧は収縮期血圧140mmHg以上/拡張期血圧90mmHg以上と定義されています。

高血圧には、原因の明らかではない本態性高血圧と、原因疾患がある二次性高血圧があります。

高血圧では心拍出量、末梢血管抵抗のどちらか、または両方の増加で生じます。

原因はさまざまありますが、血圧の上昇には環境因子も密接に関連しているといわれており、特に食塩摂取量、飲酒、喫煙、肥満、ストレスなどの影響により生じるといわれています。

 

本態性高血圧

本態性高血圧は原因が不明であるが、遺伝因子(交感神経系、ナトリウム調節系、レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系など)と環境因子が相互に作用して発症する。

本態性高血圧は無症状であることが多いが、頭痛、肩こり、動悸、易疲労性などを認める場合もあります。

環境因子の適切なコントロールを図ることが重要です。

 

二次性高血圧

二次性高血圧は、高血圧に至る明らかな原因疾患があるために生じます。

症状としては、原因疾患に起因する症状の他に、頭痛、嘔気、嘔吐、眩暈、脱力感などが生じます。

原因もさまざまですが、代表的な原因疾患について簡単にですが述べていきたいと思います。

腎性高血圧

二次性高血圧の75%を占めています。

腎実質性高血圧

慢性糸球体腎炎や糖尿病性腎症などの腎疾患により、糸球体の硬化が起こると機能しているネフロン数が減少してしまい、糸球体ろ過率を保つために糸球体内圧の上昇が起こります。糸球体内圧の上昇に対しては、残存する糸球体のろ過量を上げ対処しようとしますが、高血圧の状態が続くことにより腎障害が促進され、さらに高血圧へとつながります。

腎血管性高血圧

腎動脈の狭窄などにより腎血流が低下し、腎臓の傍糸球体細胞からのレニンの分泌亢進がもたらされるために生じる高血圧です。レニン分泌が亢進することにより、レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系の亢進につながります。

内分泌性高血圧

原発性アルドステロン症

副腎皮質からの原発性病変によりアルドステロンが過剰に分泌されるため、高血圧と低カリウム血症を呈する病態です。アルドステロンは、腎臓の遠位尿細管に作用して、ナトリウムの再吸収とカリウムの排泄をきたすため循環血液量が増加します。

Cushing(クッシング)症候群

副腎過形成。副腎腫瘍、下垂体線種などによりコルチゾールが過剰に分泌された状態が起こります。そのことにより高血圧の他、満月様顔貌、中心性肥満、皮膚線条、多毛などの特徴的な身体所見を示す病態です。

褐色細胞腫

副腎髄質細胞や副腎外の傍神経節に存在するクロム親和性細胞から発生する腫瘍で、、カテコラミンをはじめ各種の生理活性物質を多量に分泌します。このことにより高血圧と代謝の亢進などを示す病態です。

その他

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)

睡眠時の無呼吸による低酸素血症や頻回の覚醒が起こることにより交感神経系の緊張状態が持続的に続くために高血圧となります。睡眠時に上気道が閉塞し、10秒以上の呼吸停止が5回/時間以上見られる場合を閉塞性睡眠時無呼吸症候群といいます。

 

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