人工呼吸器装着中は、生命維持のために動作していなければ問題ですよね。
そのため、人工呼吸器本体の異常や故障、患者の状態、加温加湿器の異常に対してのアラームが鳴るようになっています。
慣れないうちは、アラームが鳴るだけであせってしまい、近寄りがたいものだと思います。
しかし、アラームが鳴っているということは、何らかの異常が発生しているということです。しっかりとアラームの原因と種類を学び対応できるようにしていきましょう。
目次
アラームの原因
アラームの鳴る原因としては、①換気維持ができない場合、②患者に何らかの異常が発生した場合、③人工呼吸器や周辺機器に異常が発生した場合に分けられます。
換気維持ができない場合
換気維持ができない原因としては、
- 人工呼吸器回路の外れやガス漏れ(リーク)、回路や気管チューブの屈曲、人工鼻や気管チューブの閉塞など、人工呼吸器の回路系の異常
- 無呼吸、ファイティングやバッキングなどによるガス送気の停止によるもの
などがあります。
低換気となり、換気維持ができずにアラームが発生します。
患者に何らかの異常が発生した場合
患者の病態により、無呼吸や頻呼吸、低換気、換気量増加などの異常に対してアラームが発生します。
人工呼吸器や周辺機器に異常が発生した場合
医療ガスの供給不足や停電などによる人工呼吸器の停止、加温加湿器の異常などの人工呼吸器本体や、その周辺機器の異常によりアラームが発生します。
アラームの種類
一回換気量アラーム
人工呼吸器は一回の呼吸でどのくらいの換気量があったかを監視しています。(通常は吸気量ではなく呼気量で判断します。)
一回換気量の目安としては成人だと7~10ml/kg、小児だと12~15ml/kgです。この値をしっかりと覚えておきましょう。
分時換気量アラーム
1分間の総換気量を監視しています。
最低分時換気量アラームは、呼気換気量の減小、自発呼吸量の低下、トリガーの検出不良、呼吸器回路のガス漏れ(リーク)などで鳴ります。
最高分時換気量アラームは、呼気換気量の増加、トリガーの検出不良などによりなります。
換気回数アラーム
1分間に何回の呼吸を行っているのかを監視し、異常があった場合にアラームが鳴ります。
モードによっては、換気回数が設定されている場合があります。特に強制換気と自発呼吸補助が混在するSIMVなどでは、呼吸回数の総数と、自発呼吸の回数を把握していることが必要となります。
気道内圧アラーム
本来の呼吸では胸腔内圧は陰圧となりますが、人工呼吸器では空気を強制的に送るため肺や気道は陽圧となります。過度な陽圧となると気道損傷などの危険性も高くなるため注意が必要です。
最低気道内圧アラームとしては、呼吸器回路の亀裂や破損、ガス漏れ、ウォータートラップの接続不良などのより発生します。
最高気道内圧アラームとしては、バッキング、ファイティング、呼吸器回路の屈曲や閉塞、挿管チューブの屈曲や閉塞、分泌物の貯留などによりなります。
回路内リークアラーム
人工呼吸器のから送られる吸気量と、患者から戻ってくる呼気量に大きな差があれば、空気が漏れているということになります。
このアラームが鳴った場合には、回路の各接続部に外れがないか、挿腔チューブのカフ漏れがないかを確認する必要があります。
※NPPVを使用する場合には、ある程度のリークがあった方がいいとされています。そのリーク量は機器によって異なるため製造メーカーに確認するといいでしょう。
無呼吸アラーム
一定時間以上に自発呼吸が起こらない場合にはアラームがなります。
自発呼吸補助のみのCPAPなどのモードでは、無呼吸が続いてしまうと呼吸停止となってしまう可能性があるため呼吸状態の観察が大切です。
無呼吸アラームが頻回に鳴る場合にはモードの検討が必要です。
酸素濃度アラーム
設定されている酸素濃度と、吸気で送り出す酸素濃度の差がある場合にはアラームが鳴ります。
この場合には、酸素濃度センサーの不良や劣化、供給ガス圧の異常が起こっている可能性があります。
加温加湿器のアラーム
特に起こりやすいのは、加湿チャンバー内の滅菌蒸留水の不足による空焚きです。適宜、補充が必要です。
対応
人工呼吸器のアラームが鳴っている場合には、迅速な対応が必要となります。
なぜアラームが鳴っているのかをアセスメントし、一人では対応困難な場合には応援を要請することも必要でしょう。
実際に設定の変更を指示するのは医師であるため、設定の変更が必要そうな場合には医師へ報告が必要です。
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