目次
【病態】
・伝染性単核球症はEpstein-Barr virusの感染によって発症します。
・潜伏期間は2~6週間と考えられています。
・ウイルスは唾液に存在し、経口・経気道的に伝播して、B細胞で増殖します。日本では1~2歳までにほとんどが感染し、3歳以上の抗体保有率は70~80%といわれています。
・欧米では思春期に初感染することが多いため俗にキス病、大学病などと呼ばれる場合があります。
【症状・診断】
・主な症状は、1~2週間持続する発熱、咽頭痛、頸部リンパ節腫脹があります。
・その他、全身倦怠感、偽膜を付着する扁桃炎、肝脾腫などが認められます。
・2~3週間で自然治癒します。
・間質性肺炎、ギラン‐バレー症候群、髄膜炎、脾腫、肝腫大、黄疸、脾破裂などの合併症を生じることがあります。
・後頚部リンパ節腫脹、脾腫の特異度が高いです。
・診断には白血球数、リンパ球数、異型リンパ球数が有用でリンパ球が白血球の50%以上であること、異型リンパ球が10%以上であること、両者が揃うことの診断特異度は各々84%、92%、95%とするデータもあります。
・Virus capsid antigen(VCA)抗体、EBV nuclear antigen(EBNA)抗体による血清学的評価を用いて確定診断します。
※VCA-IgMは急性期に検出され3カ月後には消退、VCA-IgGは急性期から陽性化し回復期に上昇し生涯陽性が持続、EBNA抗体は感染後6~12週間後に陽性化し生涯陽性が持続することから、発症初期にVCA-IgMが陽性でEBNAが陰性の場合は急性感染と診断できます。
【治療】
・対症療法が中心となり、十分な水分補給と栄養、安静が重要です。
・発熱、咽頭痛、筋痛に対してはアセトアミノフェンやNSAIDsを投与します。
・二次感染を合併しない限り抗生剤は不要であり、抗生剤を使用する場合には発疹を誘発させるというペニシリン系を避ける必要があります。
【看護】
・発熱時は、動脈が体表近くを通っている部位(頸部・腋窩・鼠径部など)を氷嚢や氷枕、アイスノンなどを使用し冷罨法を行います。
・解熱時や発汗の多い場合には、適宜更衣、保清を行い身体の清潔を保持します。
・脱水予防のため、in-outを観察し、点滴実施中の場合には指示された輸液の内容・量が投与されているかを確認します。
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