感染経路による予防対策ー接触感染・飛沫感染・空気感染の防止


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目次

感染経路別予防策とは

感染経路別予防策とは、感染症や感染症の疑いのある場合に、スタンダードプリコーションに加えて実施するものである。

個人防護用具の着脱ースタンダートプリコーション(標準予防策)の実施

感染予防のための衛生学的手洗い

病原微生物の感染経路を正しく理解しておくことが大切で、それに応じた予防策を行っていく。病院では、医療従事者だけではなく、面会の家族などにも知識を周知しておく必要がある。

 

感染経路の種類

接触感染

接触感染する主な疾患には以下のようなものがある。

  • MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)などの多剤耐性菌
  • 腸管出血性大腸菌(O157)感染症
  • ノロウイルスやロタウイルスなどの感染性腸炎
  • 疥癬           など

特徴

医療関連感染の中で最も頻度が多い伝播方式である。直接感染と間接感染に分けられる。
直接感染:おむつ交換やバイタルサイン測定、体位変換など直接患者と接触することにより伝播する。
間接感染:汚染された医療器具や感染源の患者と接触した医療従事者の手などを介して間接的に伝播する。

感染予防方法

①患者の配置
・原則としては個室(難しい場合には同一感染者と集団隔離する。)

②手袋の着用
・患者自身や、患者周囲のものなどの触れる場合には必ず病室へ入る前に手袋を装着する。(入退出時に手指消毒も行う。)

③ガウンの着用
・ユニフォーム(看護衣)が患者や汚染された器具などに触れる可能性があるため、病室へ入室する前に着用し、退出する前に脱ぐ。

④患者移送
・病室外への移送は必要最小限とする。

⑤使用物品について
・血圧計や体温計、聴診器、パルスオキシメーターなどはその患者専用のものを準備することが望ましい。(難しい場合には、使用後に適切な消毒を行う。)

⑥患者環境整備
・ベッド柵やオーバーテーブル、ドアノブなどの頻回に接触するような場所は、1日に1回は清拭消毒することが望ましい。

 

飛沫感染

飛沫感染する主な疾患は以下のようなものがある。

  • 百日咳
  • インフルエンザ
  • マイコプラズマ肺炎
  • 流行性耳下腺炎(ムンプス)
  • 風疹           など

特徴

咳やくしゃみ、会話などにより飛沫粒子に付着した微生物が飛散し、感受性のある人が暴露することで感染する。(飛沫感染では粒径5μm以上の大きさの粒子による感染をいう。)

感染予防方法

①患者の配置
・原則としては個室(難しい場合には同一感染者と集団隔離する。)
・集団隔離の場合には、ベッドの間隔を1m以上確保する。
・特別な換気などは必要なく、扉も開けておいても良い。

②マスク(必要に応じてゴーグルも)の着用
・患者の1m以内で処置やケアを行う場合には着用する。

③患者移送
・病室外への移送は必要最小限とする。
・移送する場合には、患者にマスクを着用する。

④使用物品について
・・血圧計や体温計、聴診器、パルスオキシメーターなどはその患者専用のものを準備する必要はない。

⑤患者環境整備
・トイレやシャワーは室外へ行き使用してもよい。
・退院など患者の退室後には、十分な換気と清拭消毒を行う。

 

空気感染

空気感染による主な疾患は以下のようなのもがある。

  • 結核
  • 麻疹
  • 水痘

特徴

感受性のある人が、長期間空気中に浮遊する病原体を含む飛沫核を気道へ吸入することで感染する。(空気感染では粒径5μm以下の大きさの粒子による感染をいう。)

感染予防方法

①患者の配置
・空気感染隔離室へと収容する。(陰圧部屋)

②マスクの着用
・空気感染患者のケアを行う医療従事者はN95マスクを着用する。(入室前後に病室前で行う。)

※N95マスクについて
・N95マスクは5μm以下の微粒子を防護するため空気感染予防策に有効である。
・上側のゴムバンドは頭頂部近くに、下側のバンドは首の後ろにかける。装着後は必ずフィットチェック(ユーザーシールチェック)を行い、漏れがなくなるまでチェックを繰り返す。
・鼻周囲から空気が漏れている場合は、鼻あてを調整する
・顔の部分から漏れている場合は、マスクとゴムバンドの位置を調整する。

③患者移送
・病室外への移送は必要最小限とする。
・移送する場合には、患者にマスクを着用する。

④患者環境整備
・1時間に6回(可能なら12回)換気し、外に直接排気する。
・隔離室のドアは閉めておく。

 

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