前回は心房細動(AF)についてだったので、今回は名前の似ている心房粗動(AFL)についてです。
AFLは医療現場ではフラッターと呼ばれますね。
目次
心房粗動(AFL)とは
AFLは、心房内に規則正しいリエントリー回路が発生している状態で、300回/分程度の粗動波が出ている状態をいいます。
難しい表現ですね。
簡単に言えば、心房内で電気刺激がぐるぐると規則的に回っているのですね。
AFのときにもいいましたが、心房の刺激は房室結節で間引きされます。
そのため、房室結節が間引きした電気刺激が一定の頻度で心室に伝導します。
もともと規則的なリズムで粗動波が出現しているため、間引き後の心拍も規則的になることが多いです。
それでは波形を見ていきましょう。
AFLを判断するポイント
①P波がない
②基線に規則正しいのこぎり歯状の揺れ(粗動波:F波)がみられる
③R-R間隔が一定
波形の図には番号を入れてみました。
4回の粗動波に対し、1回のQRS波が出現しています。
この場合を4:1のAFLであるといいます。
同様に2回の粗動波に1回のQRS波の場合を2:1。
非常に稀ですが1回の粗動波に1回のQRS波の場合を1:1といいます。
頻度的には、4:1が一番多く、二番目は2:1です。
もともとの心疾患がある患者さんに発作的に出現することが多く、高血圧や糖尿病も原因となります。
AFLをみたときの対応
4:1の場合は危険度小です。
心房では有効な拍出ができなくなりますが、正常の心拍数に近いため無症状のこともあり、経過観察することがほとんどです。主治医がAFLを認識していない場合は急がなくてもいいですが報告しましょう。
しかし、4:1であってもその発生により循環動態が悪化したり、症状がある場合にはすぐ主治医に報告しましょう。
2:1や1:1では致死的になることがあります。
2:1は危険度中です。循環動態と意識レベルを観察し速やかに主治医へ報告しましょう。
1:1は危険度大です。心拍数が300回/分近くになり、心臓は空打ちしている状態になります。
血圧を維持することができず、心停止と同様の状態です。すぐに他のスタッフを呼び、連携し速やかな心肺蘇生が必要になります。
治療
・β遮断薬やジギタリスなどによる心拍数のコントロールや、抗不整脈薬による治療が行われる場合もあります。
・カテーテルアブレーションにより根治治療を行う場合もあります。
・2:1や1:1などの場合には電気的徐細動により治療することもあります。
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