今回は脚ブロックについてです。
目次
脚ブロックとは
脚ブロックとは、その名前の通り刺激伝導系の右脚または左脚で伝導障害を起こしている状態をいいます。
右脚で伝導障害を起こしている場合を右脚ブロック、左脚で伝導障害を起こしている場合を左脚ブロックといいます。
脚ブロックだけでは症状がないことがほとんどです。
心臓のポンプ機能は左右の心室が同時に収縮することにより有効な血液の駆出ができます。
しかし、脚ブロックでは左右の心室がずれて収縮することがあるため、有効な血液の駆出ができていない。
すなわち、全身に血液を上手く送ることができていない状態です。
そのため、循環動態は変化しやすいということを知っておかなければなりません。
それでは波形です。
判断のポイントは
①幅の広いQRS波がある
②基本調律がSRでもAFでも起こりうる
脚ブロックの波形は千差万別です。
上の波形はあくまでも一例となります。
また、脚ブロックはモニター心電図では判断することは困難です。
そのため、12誘導を見て判断していきましょう。
脚ブロックを判断する時は特に、V1とV6を見ていきましょう。
まずは右脚ブロックからです。
右脚ブロックの場合V1に幅の広いQRS波(rsR´型)、V6に幅の広いS波があることが特徴的です。
右脚ブロックは心臓に基礎疾患が無い場合でも見られることがあります。
自覚症状もなく、特別な対応が必要なことは少ないです。
続いて左脚ブロックです。
左脚ブロックの場合には、右脚ブロックとは逆にV1に幅の広いS波、V6に幅の広いQRS波があります。
左脚ブロックは、心臓に心筋梗塞・心筋症・高血圧といった、心筋にダメージを及ぼす基礎疾患が存在していることが多いです。
12誘導の右脚ブロックと左脚ブロックの区別が覚えられない。
または、どっちがどっちだか分からなくなってしまう方は、12誘導でのV1とV6でそれぞれが見ている心臓の部分を知っておくと良いでしょう。
V1は心臓の右側を見ています。そしてV2・V3・・・と少しずつ心臓の左側へと見る場所を移動し、V6では心臓の左側を見ます。
V1とV6それぞれが心臓を見ている部分に幅の広いQRSとして、心電図上で反映されていますよ。
脚ブロックを見たときの対応
もともと脚ブロックであった場合の危険度は小です。
心拍数や循環動態に変動がなければ特別な対応は必要ありません。
もともとが通常の幅のQRS波であったものが急に幅の広いQRS波になっていたり、もともと脚ブロックであっても著しい頻脈や徐脈となっている場合には何らかの異常が起こっており、速やかな対応が必要となります。
バイタルサインや全身状態を観察し、すぐにDrへと報告しましょう。
治療
・悪化が予測されるものでなければ特別な治療は行いません。
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