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PEEP(呼吸終末陽圧)とは
PEEPとは呼吸終末時に肺胞内を設定した陽圧に保つことで、呼気時に肺胞が虚脱することを防ぐことをいいます。
よくPEEPを説明する際には風船に例えられます。
風船を膨らます時のことを思い出してください。
風船が完全にしぼんでしまった状態から大きく膨らますためには多くのエネルギーを必要とします。
しかし、風船内に空気を残し少しだけ膨らましておくと、この後大きく膨らます時に必要なエネルギーは軽減されます。
それと同じように、肺胞を少しだけ膨らましておくことで虚脱を防ぎ、肺胞を膨らましやすくするのです。
PEEPの作用
なぜPEEPが必要になると思いますか?
一概には言えませんが、人工呼吸器が必要な病態では肺のコンプライアンス(肺胞の膨らみやすさ)が不良であることが考えられます。
そのような肺胞の虚脱を防ぎ、機能的残気量を増加させることで、PEEPを負荷していない状態では膨らみにくい肺胞も膨らますことができます。
そうすることで、ガス交換能が良くなり酸素化を改善することができるのです。
また、虚脱した肺胞を膨張させたり、虚脱させたりすると肺損傷を起こすリスクが高くなります。
肺損傷を防ぐというメリットもあります。
PEEPの副作用
人の呼吸では通常生理的なPEEPがかけられています。生理的PEEPは陰圧です。
しかし、人工呼吸器が負荷するPEEPは陽圧であるために副作用もあります。
・心拍出量の低下
通常では吸気時に胸腔内が陰圧になることにより、大静脈が拡張し静脈還流量を保っています。
しかし、PEEPは陽圧であるために、逆に静脈還流が低下してしまいます。
心臓に戻ってくる血液量が減少してしまうということです。
そのために、心拍出量も低下し、血圧も低下します。
静脈還流が減少することは、前負荷を軽減することになるため心不全の治療の際には有用なものになります。
・尿量の減少
PEEPを負荷すると心拍出量が低下し血圧も低下します。
血圧が低下するということは、それだけ腎臓への血流も減少していることになります。
腎臓でろ過する血液量が減少するのですから、尿量も減少することになります。
・肺の圧損傷
陽圧をかけるということは、肺胞を過膨張させてしまう可能性があります。
そのことに伴う肺損傷のリスクがあります。
・脳圧の亢進
静脈還流が低下するということは、各臓器から心臓へ戻る血液の循環抑制が生じている状態となります。
そのことにより、各組織の内圧の上昇にもつながりますので、脳圧亢進が生じます。
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