目次
目的
抹消の血管内に穿刺針を挿入し静脈血を採取し、血液検査により身体の状態を知ることができる。そのことにより、疾患の診断や治療の効果の指標に使用される。
必要物品
真空管採血の場合
- 採血ホルダー
- 採血針(21~23G)
- 駆血帯
- 消毒用アルコール綿
- 絆創膏
- 採血管
- 検査ラベル(シール)
- 針捨て容器
- 使い捨て手袋
- 汚染防止用シーツ
- 肘枕
手順
1.氏名、検査内容と採血管、検査ラベルを指示書と照合する。
誤認が無いよう患者は正しいか、採血管は正しいか確認する。
2.必要物品を準備する。
3.手指洗浄をし、必要物品を持って訪室する。
4.患者本人であることを確認する。
5.手指消毒をし、使い捨て手袋を装着する。
通常は肘正中静脈で行う。シャント側、麻痺側、乳房切除側の腕は避ける。また、血腫や感染のある部位や輸液をしている側の腕も避ける。
7.採血部位の下に必要時、肘枕を入れ、その上に汚染防止シーツを敷く。
8.駆血帯で採血部位より5cm程度上部を縛り、拇指を中に入れて手を握らせる。駆血時間は2分以内にする
3分以上駆血すると、循環障害や血液成分が変化することがある。
9.消毒用アルコール綿で針の刺入部を中心から外側に円を描くように消毒し、乾燥させる。
アルコールのアレルギーがないか確認が必要。アレルギーの場合にはクロルヘキシジングルコン酸塩などの消毒への変更が必要。
10.血管の走行に沿って針の断面を上に向けて、針を持っていない反対側の拇指で皮膚を下へ伸展させ約15~20度の角度で穿刺する。
11.針基部(針の根元)への血液流入を確認後、採血容器をまっすぐに挿入する。
連続採血する場合、容器の差しかえは血液流入が止まってから行う。採血ホルダーを使用する場合は、生化学検査の容器を1番目に、凝固検査の容器は2番目に注入する。
12.容器への血液の流入が終了したらホルダーから容器を抜く。
13.駆血帯を外す。
14.刺入部に消毒用アルコール面をあてて針を抜き、圧迫止血をする。
出血傾向のある患者には、止血に5分は必要。止血を確認できるまで圧迫止血する。
15.針とホルダーは分離せず、針捨て容器を捨てる。
16.手袋を外し、手指洗浄をする。
17.採血部位の止血状態を確認し、寝衣、体位を整え終了したことを告げる。
18.使用した物品を適切な方法で片付ける。
19.検体は決められた方法で提出する。
※シリンジ採血の場合は、シリンジで採取後に採血管へと移し替える(分注)する。
動画
上での手順と若干違う点もありますがご容赦ください。
採血管(スピッツ)の種類
1.生化学
茶色のキャップで生化学検査用の採血管。
壁には凝固促進剤がついており、採血管の中央付近には遠心分離をした時に血清を採りやすくする薄い紙、下には遠心分離した時に血餅と血清を分けやすくするゼリーが入っている。
2.凝固
黒色のキャップで凝固検査用の採血管。
透明な液体(抗凝固剤とクエン酸Na)が入っている。
採血管内にラインがあり、必ずラインまで入れなくてはいけない。(多くても、少なくてもいけない)
3.血算
紫色のキャップの採血管。
血球や血液像の検査の際に用いられる。
白い粉(EDTA)が入っている。
4.血糖
灰色のキャップで血糖値検査用の採血管。
血球に糖を使用されることを防ぐため解糖阻止剤(フッ化Na)が入っている。
5.血液型
紫色のキャップで血液型検査用の採血管。
抗凝固剤とEDTA-2Naが入っている。
心不全の診断に使用するBNPを測定する時にも使用される。
採血法の種類
1.真空管採血
真空管採血ホルダーを用いて採血を行う方法。
採取した血液を採血管に移し替える必要がないため、血液に接するリスクが少ない。
採血量に応じて採血管は陰圧に調節されているため、検査に必要な量を正確に採取できる。
注意点として、脱水傾向や血管の弾性弱い患者では、血管に針が入っているにも関わらず血液が引けないことがある。
翼状針を使用した場合には、デットスペースが多いため生化学の採血管を採取した後に、凝固の採血管で摂取する必要がある。
2.シリンジ採血
翼状針 | シリンジ付き注射針(直針) |
注射針にシリンジをつけて採血を行う方法。
1回の穿刺で採血とルート確保ができる。
注意点として、採血に時間がかかると凝固してしまう可能性がある。
また、採血管に移し替える必要があるため血液に接するリスクが高い。
採血のポイント
採血の一番のポイントは血管選びです。
血管選びが、その採血の成功か否かを決めるといっても過言ではありません。
私も経験上、血管選びに悩み失敗したことも数知れず・・・。
2本の血管に的を絞り、片方でトライして失敗。残った片方にトライして成功。
「最初っからこっちにしておけば良かった」と思うこともたびたびです。
そのため血管選びはしっかりと時間を掛け選びましょう。
一般的には、肘の内側(肘窩)が良いとされていますが、血管さえあればどこでもいいと思います。
もちろん、部位によって痛みが異なりますが、何度も刺されるよりは確実に一度で決めてもらった方が絶対に良いと思います。
どんな血管を選ぶかと言うと、
駆血をするとぷっくりとさわって触れるような血管が一番です。血管の色も見ることができれば、さらにベストな血管ですね。
血管の色ばかりが見えて、怒張してこないような血管はなかなか難しい血管だと思います。
また、刺した時には独特な「プチッ」とした感覚があります。(血管がもろい高齢者では感じにくいこともありますが・・・)
刺しながら、経験して学んでいくことができます。
しかし、早く身に付けたいと言う方には、オススメの練習方法があります。
駆血帯に針を刺すのです。
そうすると、血管に入ったときと近い感覚がありますよ。
ポイントの最後になりますが、針はゆっくり刺さずに、一気に刺しましょう。
その方が患者さんの痛みの軽減にもなりますよ。
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