経鼻的胃管挿入の手順と看護

経鼻経管栄養法とは

経鼻経管栄養法とは、経腸栄養の一つであり、鼻から胃にチューブを挿入し栄養剤または流動食を注入する方法である。

 

目的と適応

目的

  • 摂食・嚥下機能障害患者や食欲低下などで、消化吸収機能は保たれているが経口摂取できない、または不十分な患者に対しての栄養補給を目的としている。
  • 胃液採取や洗浄、薬剤投与、術後の消化液の胃内貯留防止のため

 

適応

  • 消化管機能は保たれているが、上部消化管の通過障害や意識障害などにより経口摂取ができない、あるいは経口摂取だけでは必要な栄養を充足できない場合で、チューブ留置期間が短期間(4~6週間以内)と判断される患者。
  • 胃液採取が必要な患者
  • 薬物中毒により胃洗浄が必要な患者

 

必要物品

  • 胃管カテーテル (12Fr、14Fr、16Fr)
  • 潤滑剤(ぬるゼリー)
  • カテーテルチップシリンジ
  • 固定用テープ
  • ガーゼ
  • 使い捨て手袋
  • 聴診器

 

手順

1.患者本人であることを確認し、目的と内容を説明して同意を得る。

患者誤認防止のため、患者自身に名前を名乗ってもらうか、リストバンドで確認を行う。

2.処置の準備を行う。

①口腔内や鼻腔内の観察を行い、分泌物や痰などの汚染、乾燥が強い場合には口腔ケアを行う。

・汚染が強ければ、気管内へ誤って挿入してしまった場合に細菌が気管内に入り誤嚥性肺炎の原因となってしまう。
・乾燥がある場合には、チューブ挿入時に生じる摩擦が強くなってしまい挿入の妨げとなってしまう可能性がある。口腔ケアを行うことで、唾液の分泌が起こり嚥下反射が起こりやすくなる。

②義歯がある場合、取り除いておく。

義歯があると、誤嚥や窒息を起こす可能性がある。

③必要物品をベッドサイドに準備し、カーテンまたは部屋のドアを閉める。

④患者の体位を整える。(体位はファーラー位または座位とする。)

・患者が嘔吐した場合の、胃食道逆流による肺への誤嚥を予防するための体位である。
・枕をして頸部を軽度前屈してもらうと、咽頭と食道が一直線となり、患者の嚥下を助ける姿勢となる。

⑤手指消毒し、使い捨て手袋を装着する。

微生物の伝播と感染予防のため。

個人防護用具の着脱ースタンダートプリコーション(標準予防策)の実施

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3.胃管の先端を剣状突起から、挿入側の耳たぶを経由して鼻孔まで引き伸ばし、挿入する長さを確認する。

鼻孔から胃までの長さは成人で約45~60cmである。

4.ガーゼに潤滑剤を出し、胃管の先端に塗布する。

・鼻粘膜に対して摩擦を最小化して、チューブの挿入を行いやすくする。
・キシロカインゼリーを使用する場合には、事前に患者のキシロカインに対するアレルギーの有無を確認する。

5.口呼吸をするように説明し、鼻孔より胃管を顔面に対してほぼ垂直に挿入する。

6.頚部を軽く前屈させ、唾液を飲み込んでもらい、唾液を飲み込むタイミングに合わせてチューブを進めていく。

・唾液を飲み込む際に口頭蓋が気管を塞ぐため、そのタイミングでチューブを進め食道へと入りやすい。
・咳嗽や呼吸困難、嘔吐反射などが出現したら、気管内に誤挿入されている可能性があるため、無理に挿入せず咽頭まで引き抜き、落ち着いてから再度挿入し直す。
・口腔内で胃管がとぐろを巻いている場合も、咽頭まで引き抜き、落ち着いてから再度挿入し直す。

7.胃管の先端の位置を確認する。

誤って気管に入った状態で経管栄養を注入してしまうと重篤な肺炎を起こしてしまうため。

①カテーテルチップシリンジで空気を10~20ml注入し、聴診器を心窩部にあて、注入音(気泡音)を確認する。

・気管に誤挿入されている場合には注入音(気泡音)は聴取されない。
・20ml以下の容量のカテーテルチップシリンジを使用すると、注入圧が上昇してしまいチューブが破損してしまう可能性があるため、20ml以上の容量のものを使用する。
・腹部膨満を助長してしまうため、注入した空気は必ず抜くこと。

②チューブにカテーテルチップシリンジを接続し、胃内容物を吸引する。

・気管に誤挿入されていた場合、胃液は吸引されない。
・気泡音だけの確認では誤認していることが多いため、胃液または胃内容物の吸引を確認することが推奨されている。

③発声をしてもらい、声が出ることを確認する。

気管に挿入されていた場合、チューブが声帯を通過しているため発声ができなくなる。

④胸部X-pでカテーテル先端の位置を確認する。

・レントゲン検査により、チューブの留置位置を確認するのが、最も確実な方法である。
・レントゲンに写るチューブを使用している場合に限る。

8.チューブ内のガイドワイヤーを抜き、キャップを閉める。

胃内容物の逆流が起きないようにキャップを閉める。

9.テープでチューブを固定する。

・プラスティック部分が直接皮膚に触れていると潰瘍ができるため注意する。
・事故抜去が起きないように2ヶ所で固定する。
・チューブの刺激や圧迫による皮膚損傷を防ぐため、テープは毎日交換する。

10.患者の体位を整え、片づけを行う。

11.記録を行う。

カテーテルのサイズや挿入の長さがわかるように記録も行う。

 

動画

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