輸血の準備と看護‐適応や血液製剤準備の手順

目次

輸血とは

輸血とは第3者の血液成分を体内に入れることであり、赤血球製剤、新鮮凍結血漿、濃厚血小板があり、それぞれの適応にあわせて行われます。

目的と適応

目的

血液中の赤血球などの細胞成分や凝固因子などの蛋白質成分が減少したり、または機能的に低下したときに、その成分を補充することにより臨床症状の改善をはかる 。主に以下の臨床症状の改善を図るため実施される。

  • 循環血液量の改善
  • 組織への酸素運搬機能の改善
  • 出血傾向の改善
  • 血液の膠質浸透圧の改善
  • 免疫体補給による感染防御能の改善
  • 有害物質を含む血液を除去した後の血液の補充

 

適応 

  • 出血性ショック
  • 血液疾患
  • 慢性出血性貧血
  • 急性出血
  • 周術期
  • 播種性血管内凝固(DIC)
  • 腫瘍
  • 造血幹細胞移植

 

必要物品

  • 交差適合試験適合票
  • 交差適合試験用採血スピッツ
  • 輸血用血液製剤
  • 輸血用セット
  • 輸血指示書
  • 輸血同意書
  • 点滴スタンド
  • 使い捨て手袋
  • 消毒用アルコール綿
[必要時]
  • 血液加温器
  • 恒温槽
  • 振とう機

手順

1.輸血の指示を確認する。

①医師の指示を元に、患者氏名、ID番号、血液型(ABO型・Rh型)、製剤名、数量、使用予定日を確認する。

血液型の不適合は重大な副作用を起こすため、必ず2人の看護師で確認する。また、患者に輸血の適応があるのかをアセスメントし、疑問があれば医師に質問する。

②医師から輸血の必要性、リスクなどについて患者または家族に説明し、輸血を行うごとに必ず輸血同意書を取得しているかを確認する。輸血実施者は輸血同意書の有無、患者サインなど内容に不備がないかを確認をする。

輸血は他者の血液成分を自身の身体に入れるため臓器移植の一つとされている。そのため、宗教上の理由などで輸血を拒否する場合もあるため必ず同意書の確認を行う。

③輸血前の内服や点滴指示の有無も確認する。

繰り返し輸血を行っている場合などで副作用が予想される際には、その予防のためあらかじめ点滴などの指示がある。また、持続で補液を行っている場合には、輸血中の補液投与についての確認も行う。

2.交差適合試験(クロスマッチ)用の採血を行う。

・赤血球製剤や全血を用いる場合には交差適合試験用の採血を行い、血液型の判定や不規則抗体の有無を調べ、不適合輸血を防ぐ。(赤血球をほとんど含まない濃厚血小板や凍結血漿の場合は、交差適合試験を省略してもよい。)
・緊急でない限り、血液型を検査とは別の時期にとった検体で交差適合試験を行う。

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3.輸血製剤の受領・運搬・保管を行う。

①輸血準備の部署より連絡がきたら輸血製剤を取りに行く。

②受領の際には、輸血払い出し票と血液製剤を照合し、患者氏名、ID番号、血液型(ABO型・Rh型)、製剤名、数量、血液番号、有効期限を輸血準備の部署のスタッフと確認を行う。

③血液製剤専用の運搬バックにいれ運搬を行う。

血液製剤は温度管理が重要であるため、運搬には専用のバックを用いる。

4.病棟で再度、輸血払い出し票と血液製剤を照合し、患者氏名、ID番号、血液型(ABO型・Rh型)、製剤名、数量、血液番号、有効期限を確認する。

必ず2人の医療者で行う。

①バッグ内の血液の色調変化、溶血(黒色化)、凝血塊・凝集塊などの異常、およびバッグの破損や開封による閉鎖系の破綻などの異常がないことを確認し、異常がある場合は使用せず、輸血準備の部署へ連絡する。

5.手指衛生を行い、使い捨て手袋を装着する。

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6.輸血セットを準備する。

①血液バッグを上下左右に静かに振り、血液を混和させる。

製剤内の血球成分と保存液をよく混和するため。

②血液バッグのピールタブのどちらか一方を強く引き、差込口を露出させる。

③輸血セットのクレンメを閉じ、プラスチック針のキャップを外して、針を輸血口の基部まで、少しひねりながら水平に刺入する。

刺入方向が曲がっていると輸血バックを破損してしまう可能性がある。

④輸血バッグを輸液スタンドにかけ、輸血セットのクレンメを閉じた状態で、ろ過筒(ろ過網のある部分)を指でゆっくり押しつぶして離し、ろ過筒内に血液を満たす。

ろ過筒内に血液を満たすことで、フィルター全体で効率的に、ろ過を行うことができる。

⑤点滴筒(ろ過網のない部分)を指でゆっくり押しつぶし、点滴筒の半分程度まで血液をためる。

点滴筒に血液を満たしていない状態で、クレンメを緩めると、ライン内に空気が入る可能性がある。

⑥クレンメを徐々に緩めて、輸血セットの先端まで血液を満たし、クレンメを閉じる。

輸血ラインに空気が入っていないかを確認する。

⑦手袋を外し、手指衛生を行う。

 

血液製剤の準備

・赤血球製剤:受領後は室温で保存し、速やかに投与を行う。

・濃厚血小板(PC):できるだけ速やかに使用すべきであるが、すぐに使用しない場合は振とう機に入れ20~24℃で穏やかに振とうする(血小板は20~24℃で保存することにより機能が保たれるため冷所保存はしない)。

血小板製剤は、バックの素材を通して酸素を取り入れ、炭酸ガスを放出している。取り入れた酸素がバック内全体に行き渡るために振とうが必要である。(酸素が欠乏すると血小板のpHが低下してしまい機能を失ってしまう。)

・ 新鮮凍結血漿(FFP):使用時にビニール袋にいれ、30~37℃の恒温槽に入れて融解し、3時間以内に使用する。

37℃を超えた温度で融解すると凝固因子活性が低下し、50℃を超えると蛋白質変性により塊が生じてしまう。また、融解温度が低くても変性が生じてしまう。

 

※血液製剤は、受領後30分以内で使用することが原則であり、病棟での保管は原則的には行わない。

 

注意事項

  • 冷た過ぎる血液の輸血は、心拍の異常や低体温を引き起こすため注意する。
  • 血液製剤のバッグ内だけではなく、低温で増殖するエルシニア菌、セラチア菌などの細菌汚染に留意してバッグ内とセグメント内の血液の色調の差にも留意する

 

 

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