ACS(急性冠症候群)によって胸痛が生じた場合や心不全の原因として冠動脈の狭窄を疑った場合などに心臓カテーテル検査を行なうことになると思います。
生命の危険を回避するための治療・検査であると同時に、侵襲のある検査でるため様々な合併症があります。
今回は心臓カテーテル検査に伴う合併症について、早期に対処することができるように学んでいきましょう!
目次
アナフィラキシーショック
原因
造影剤・キシロカイン・消毒剤(ヨード・アルコールなど)に対する抗原抗体反応
症状
悪心嘔吐・気管支痙攣喉頭浮腫・掻痒感・発赤・発疹・急激な血圧の低下
観察ポイント
バイタルサイン・顔色・呼吸状態
対処方法
循環血液量を補うために輸液の投与・昇圧のカテコールアミン・代謝性アシドーシスの補正のために炭酸水素ナトリウム・血管透過性を抑制するためにステロイド薬投与します。
迷走神経反射(ワゴトニー)
原因
迷走神経も過剰な反応
不安が強い時
痛みを強く我慢した時
排尿などを我慢した時
症状
突然の血圧低下・徐脈・悪心嘔吐・意識レベル低下
観察ポイント
バイタルサイン・気分不快の訴え・顔面蒼白・冷感・意識状態
対処方法
患者に声かけし患者の意識状態を確認。
輸液の投与速度を上げる・鎮痛剤投与・アトロピン製剤の投与を行います。
不整脈・心電図変化
原因
冠動脈造影時に直接冠動脈に造幣材が注入されることによる虚血や、カテーテルの操作や造影剤による機械的刺激
症状
徐脈などの不整脈・血圧低下、心電図変化、胸部症状
検査に伴う一過性のものが多いが、まれに重篤な不整脈が起こることがある
観察ポイント
心電図、心拍数の変化・胸部症状
対処方法
重篤な不整脈に対しては、抗不整脈薬の投与。またpulseless VT・VFに対してCPRやDCを行います。
動脈血栓・塞栓
原因
カテーテルの刺激による血栓の発生・カテーテルが通過する際にプラークが剥がれ、血流に乗って塞栓を起こす
症状
冠動脈閉塞による急性心筋梗塞・その他臓器の塞栓症や梗塞
観察ポイント
バイタルサイン・胸背部痛・12誘導心電図でのST変化
対処方法
バイタルサイン異常や胸背部痛、12誘導心電図上でST変化を認めた場合は医師に報告後、緊急カテーテルとなることもあります。
SAT(subacute stent thrombosis:亜急性期ステント内狭窄症)
原因
SATとは、PCI後24時間以降、30日未満で発生するステント内血栓症をいいます。
症状
冠動脈の閉塞による急性心筋梗塞
観察ポイント
バイタルサイン・胸背部痛・12誘導心電図でのST変化
対処方法
バイタルサイン異常や胸背部痛、12誘導心電図上でST変化を認めた場合は医師に報告後、緊急カテーテルとなることもあります。
出血性合併症
発生原因
穿刺やカテーテルの通過等の物理的な刺激によって発生する
症状
カテーテルが冠動脈を穿孔することで起こる心タンポナーデ・穿刺部からの出血や血腫発生・仮性動脈瘤・抹消動脈塞栓や周辺組織の圧迫による組織障害
観察ポイント
急激な血圧の低下・頻脈・息切れ・穿刺部付近の疼痛・穿刺部からの出血や腫脹
対処方法
急激なバイタルサインの変動が見られた場合はすぐに医師へ報告。
出血部位の圧迫止血・重症になると手術となります。
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