心電図上の心拍数が、動脈触知で測定した数値とは異なるような時はありませんか?
実は、その時には不整脈が発生しているのかもしれません。
なぜそのようなことが起こるのかを理解するためにも、心拍数(heart rate:HR)と脈拍数(pulse rate:PR)の違いについて知っておくことをオススメします。
目次
心拍数(heart rate:HR)とは
心拍数(heart rate:HR)は1分間の心拍回数を意味しています。
1分間に心臓が何回、収縮と拡張を行っているのかを示す数値になります。
代表的なものとして、心電図で測定することができます。
心拍数は、一般に安静時で60~100回/分を正常とします。
80~120回/分までは、心拍数増加に伴って心拍出量も増加しますが、それ以上に心拍数が増加するとかえって心拍出量は減少します。
脈拍数(pulse rate:PR)とは
脈拍数(pulse rate:PR)は体表面から触診できる動脈の拍動のことで、心拍出による動脈内の圧変動が末梢に伝播されて生じます。
これにより、脈拍数、リズムの整・不整、脈の大きさ、左右差などが観察できます。
触診できる動脈には総頸動脈・上腕動脈・橈骨動脈・大腿動脈・足背動脈などがあります。
橈骨動脈による脈拍測定を用いることが多いです。
まとめ
厳密には心拍数(heart rate:HR)と脈拍数(pulse rate:PR)は異なることを示しています。
心電図モニターなどで確認することができる心拍数(heart rate:HR)の方がより正しい値になります。
経過表などに記載する値は、正しい値である心拍数(heart rate:HR)にしましょう。
冒頭でお話いましたが、心電図上の心拍数が、動脈触知で測定した数値とは異なるような時があると思います。
それは、頻脈性の不整脈が関わっているものと思われます。
頻脈性の不整脈とは、心房細動(AF)、心房粗動(AFL)、発作性上室性頻脈(PSVT)、心室頻拍(VT)などをさします。
例として心房細動(AF)では、脈拍数(PR)が心拍数(HR)よりも少なくなる脈拍の欠損がみられます。
これは、心室収縮が起こってはいるのですが、末梢まで脈波を伝達し得るだけの十分な血液駆出を行うことが出来ない状態にあるためと考えられます(無効収縮)。
十分な血液の駆出を行うことができなくなる理由としては、頻脈のために拡張期が短くなると、スターリングの法則(心拍出量は先行収縮の拡張期の長さに比例する)により心拍出量が減少し、駆出される血液量が少なくなるためです。
そのため、心電図モニター上の心拍としては確認できますが、抹消まで脈波が伝達されていないため脈拍として触知することができないのです。
結果として、心拍数(HR)よりも脈拍数(PR)が少ない値となってしまいます。
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