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病院では酸素による治療を行っている患者が多くいますよね。
ドラマなどでも酸素マスクなどによる治療シーンがあり、よく知られているものだと思います。
そんな酸素療法も有効に使用される分には問題ありませんが、時には弊害といえるデメリットが生じる場合もあります。
そんな酸素療法の弊害についてです。
目次
酸素療法にはどんな弊害があるのか
酸素療法には、低酸素血症の治療や予防を目的として酸素運搬能を高めることにより、各組織の低酸素状態を改善するために行われます。
酸素療法による弊害としては、代表的なものとして①酸素中毒、②気道浄化の障害、③吸収性無気肺、④CO2ナルコーシスなどが上げられます。
今回は、この4つの弊害について説明していきます。
①酸素中毒
酸素中毒は、活性酸素(フリーラジカル)による細胞や組織の障害が主要因といわれています。
活性酸素とは、体内に取り込まれた酸素をエネルギー源として使用した後の廃棄物のようなイメージです。活性酸素は、正常細胞の酸化還元反応により発生するため、生体には活性酸素を排除する抗酸化防御機構(アンチオキシダント)が備わっているため、通常では細胞や組織の障害は起きません。
しかし、酸素療法などにより大気中の酸素濃度(約21%)よりも高濃度の酸素を体内に取り入れることにより、活性酸素が過剰に形成されてしまい、抗酸化防御機構の範囲を超えてしまった場合に、蛋白質・脂質・DNAが変性し細胞障害や細胞死をきたしてしまいます。
その結果として、昏睡や痙攣などの中枢神経症状、気管支炎やうっ血性肺水腫などの障害が生じ、咳・胸痛・呼吸困難感・四肢の知覚麻痺・嘔気・嘔吐などが自覚症状として現れます。
酸素中毒を防ぐためには、吸入酸素濃度と高濃度酸素投与時間を一定範囲以内にとどめる必要があります。
酸素濃度と使用可能時間の関係
- 100%酸素吸入は、線毛や肺貪食細胞の機能は低下してしまいますが、24時間以内であれば臨床的な危険性はないとされています。そして、48時間以上の投与で不可逆的な状態に陥ってしまいます。
- 60%酸素吸入は、形態学的な変化が起きる可能性がありますが、1週間以内であれば呼吸機能に影響はないとされています。
- 24~28%酸素吸入は、数ヶ月単位の吸入で軽度の組織学的変化は起きてしまいますが、酸素吸入によって特異的に生じるものとはいえません。
②気道浄化の障害
これは酸素中毒により起こるものともいえますが、気道の線毛の基底細胞が障害されてしまい、線毛運動が低下してしまうために生じます。
線毛運動が低下することにより、気道浄化が障害されすことによりウイルスや細菌などから生体を守る防御機能が低下し感染症に罹患しやすい状態になってしまします。
③吸収性無気肺
通常の呼吸では大気中の酸素(酸素濃度約21%)が肺胞に入り、毛細血管との間でガス交換が行われます。その際は、拡散により肺胞は酸素を受け取り、酸素濃度21%分の収縮が行われます。(他の約79%には窒素などがあるため吸収されません。)そのため、肺胞は膨らんでいる状態です。
しかし、それが酸素濃度100%であったならば、肺胞は酸素濃度100%分の収縮を行わなくてはなりません。100%となると、肺胞内のガスはなくなり完全に虚脱(完全に収縮し縮んでしまった状態)してしまいます。
高濃度酸素では、虚脱と拡張を繰り返すことにより、肺胞の形を保つ肺サーファクタントが障害され減少してしまい拡張することができなくなってしまいます。そうなると無気肺となります。
④CO2ナルコーシス
CO2ナルコーシスは体内にCO2(二酸化炭素)が蓄積してしまうことにより高二酸化炭素血症となり、重度の呼吸性アシドーシスを生じ中枢神経系の異常を呈した状態です。
酸素療法の弊害を予防するためには
酸素療法による弊害を予防するためには、酸素濃度を管理し、不要な高濃度酸素投与を行わないことが必要です。
もちろん、治療のために濃度100%の酸素投与が必要な場面があります。しかし、患者の状態をアセスメントし、過剰な酸素投与を行わないよう調節し、適切な酸素療法を行っていきましょう。
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