急性心筋梗塞(AMI)は心臓に栄養を送る冠動脈という血管が血栓により完全に閉塞した状態です。
その初期治療としてMONA(モナー)と呼ばれる治療を行っていきます。
今回はそんなMONAについてです。
目次
MONAとは
MONAという呼び名は、初期治療するその内容の頭文字をとったものです。
①塩酸モルヒネ・・・(M)
②酸素投与・・・・・・(O)
③硝酸薬・・・・・・・・(N)
④アスピリン・・・・・・(A)
これでMONAです。
それではひとつずつ説明していきましょう。
①塩酸モルヒネ
塩酸モルヒネは癌性の疼痛などにも用いられるほど強力な鎮痛作用があります。
急性心筋梗塞では激しい胸痛が起こります。
この激しい胸痛が起こることにより過剰な体動があったり、患者さんの不安が大きくなり、交感神経が亢進します。
そのことにより、抹消の血管が収縮し心拍数や血圧が上昇し、心負荷が増大します。
塩酸モルヒネは疼痛を取り除き、この交感神経の緊張を緩和する作用があります。また、抹消血管を拡張する作用もあります。
これらの作用により患者さんの不安は軽減され、交感神経の緊張を緩和し、心臓の負担を軽減します。
心筋の酸素需要も低下させることができます。
②酸素
急性心筋梗塞ではSPO2が100%でも酸素投与を行います。
心臓は酸素消費が非常に多い臓器です。
急性心筋梗塞が起こることにより心筋は障害されています。
SPO2は抹消で測定しているため良値ですが、心筋では酸欠のような状態に陥ってしまっているのですね。
少しでも多く心筋に酸素を送り、梗塞巣の悪化や病態の増悪を防ぐために酸素投与は行われます。
③硝酸薬
一般的に使用されるものは、ミオコールやニトログリセリンの舌下投与です。
血管を拡張させる作用があります。その作用により心負荷を軽減します。
また、冠動脈も拡張されます。
後述するアスピリンの効果で溶けた血栓が、冠動脈が拡張することによって、血液が流れてくれると理想的ですね。
血圧を下げる作用があるため、血圧が低くなっている場合には使用することができません。
また、使用した場合でもバイタルサインはしっかり観察する必要があります。
④アスピリン
血栓には赤色血栓と白色血栓というものがあります。
赤色血栓は主に赤血球とフィブリンにより形成され静脈系にできやすいです。
凝固因子の働きによりいろいろな過程を経て凝血の元になるフィブリンが生成され、血栓が形成されます。
これには凝血の元となるフィブリンの作用を抑制する抗凝固剤が使用されます。
代表としてワーファリンやヘパリンですね。
白色血栓は主に血小板とフィブリンにより形成され動脈系にできやすいです。
障害された血管壁に、血管修復のために血小板が集まり凝集します。
その血小板凝集塊にフィブリンがからみついてより完璧な血栓が形成されます。
これには血小板の凝集を抑制する抗血小板薬が使用されます。
代表としてアスピリンやチクロピジンなどですね。
急性心筋梗塞では、白色血栓が形成され問題となるため抗血小板薬であるアスピリンが使用されるのですね。
しかし、出血傾向のある病気の既往(脳出血など)がある場合には禁忌とされています。
コメントを残す