一般的な酸素化の評価として、手軽に図れるものとしてパルスオキシメータによるSPO2がありますよね。
患者さんが、呼吸が苦しいなどの訴えがあれば、まず一番に計測すると思います。
それは、正しいことだと思います。
もちろん人工呼吸装着中の患者に対してもSPO2は大切な値となります。
しかし、SPO2だけで酸素化を考えてもいいのでしょうか?
今回は、そんな人工呼吸器装着中の酸素化の指標となるP/F値について説明していきます。
目次
P/F値とは
P/F値とは呼吸状態の酸素化を評価する指標の1つです。
PとはPaO2(動脈血酸素分圧)
FとはFiO2(吸入気酸素)
P/F値はこれらの割合のことをさしています。
P/F比や酸素化係数などと呼ばれる場合もあります。
※室内空気のFiO2は21%(0.21)です。
P/F値の評価
P/F値はPaO2をFiO2で割ることで計算することができます。
P/F値=PaO2/FiO2
P/F値が300以下であると酸素化が不良であると判断できます。
正常者ですとPaO2は80~100mmHgとなります。
そして、FiO2が0.21です。
計算すると
↓↓
P/F値=80~100/0.21≒380~480
となります。
P/F値について考えてみましょう
①どちらの人工呼吸器患者の方が酸素化がいいでしょう?
Aさん・・・PaO2:95mmHg FiO2:0.3
Bさん・・・PaO2:140mmHg FiO2:1.0
答え
P/F値を計算すると
Aさんは95/0.3≒317
Bさんは140/1.0=140
一見するとPaO2の高いBさんの方が酸素化が良いように見えますが、P/F値を計算することによってどちらの方が酸素化が良いのかが判断できます。
答えはAさんです。
②この人工呼吸器装着患者は酸素化が良くなったのでしょうか?
患者Cさんは入院2日目に人工呼吸器をFiO2:60%で装着していました。
入院3日目にSPO2が100%であったためFiO2:30%へと減量しました。
血液ガスのデータは
2日目・・・FiO2:60% PaO2:180mmHg SPO2:100%
3日目・・・FiO2:30% PaO2:120mmHg SPO2:98%
計算してみましょう。
答え
計算すると
2日目では180/0.6=300
3日目では120/0.3=400
3日目の方が酸素化が良くなっていることが分かります。
まとめ
呼吸状態を把握する指標としては
実際の患者を観察し呼吸数や呼吸音を聴診する
1回換気量や分時換気量の値
などを総合的にアセスメントする必要があります。
呼吸状態をアセスメントする指標の1つとしてP/F値を活用していきましょう。
吸入気酸素濃度は、F iO2ではなくFIO2です。
気体は大文字で、液体は小文字で表します。