「心房細動(AF)の一種に心房粗動(AFL)があるんじゃないですか?」
そんな質問を受けたことがあります。
確かにAFとAFLだと略語が似ているし、そう考えてしまうかも知れないなとは思います。
しかし、AFとAFLは全くの別物です。
今回は、そんなAFとAFLの違いを学んでいきましょう!!
目次
心臓の動きから見る違い
異常を学ぶためにまずは、正常な心臓の動きについてです。
正常な心臓は刺激伝導系に沿って、洞結節→房室結節→ヒス束→右脚・左脚→プルキンエ線維の順番で電気刺激が流れることにより、心臓が1回収縮します。
それでは、心房細動(AF)の一種に心房粗動(AFL)では心臓の動きはどうなっているのでしょうか?
心房細動(AF)の心臓の動き
正常の心臓であれば、刺激伝導系に沿って、洞結節から最初の刺激が出されます。
しかし、AFではその最初の電気刺激が心房内のさまざまな場所から不規則に出てしまうのです。
その数は350~500回/分という数です。数多くの電気刺激が心房内で起きているわけですので、心房は痙攣してるようなかたちになり有効な収縮・拡張はできていません。
数多くの電気刺激が起きていますが、そのすべてが房室結節以下へ伝わり心室が収縮するわけではありません。房室結節がある程度は間引きしてヒス束以下へ伝導します。
しかし、数多くの不規則な電気刺激が出ているため、房室結節は唯へさえ電気刺激を伝導することに必死なのに、そのすべてを完璧に間引きして正しいリズムで伝導することなどできないのです。
心房粗動(AFL)の心臓の動き
AFLはリエントリー性の不整脈です。
リエントリーが発生すると、刺激がグルグルと回っているような状態となります。
AFLは、心房内に規則正しいリエントリー回路が発生している状態で、300回/分程度の粗動波が出ている状態をいいます。
AFと同様に、心房の刺激は房室結節で間引きされます。
そのため、房室結節が間引きした電気刺激が一定の頻度で心室に伝導します。
もともと規則的なリズムで粗動波が出現しているため、間引き後の心拍も規則的になることが多いです。
心電図波形で見る違い
次は心電図波形を見ていきましょう。まずはAFからです。
AFでは、心房内での刺激が多発しているため基線が揺れているように見えます(心房細動波:f波)。
さらに、P波は確認することができず、R-R間隔も不整となります。
続いてAFLです。
AFLでもP波は確認することはできませんが、基線に規則正しいのこぎり歯状の揺れ(粗動波:F波)がみられます。
また、AFとは異なりR-R間隔は一定となります。
例として表示しているAFLは4回の粗動波に対し、1回のQRS波が出現しています。
この場合を4:1のAFLであるといいます。
このほかに2:1や1:1のAFLとなることもあります。
まとめ
心房細動(AF)では心房がバラバラに動き痙攣したようになっており、心房粗動(AFL)では心房内でリエントリーが発生しているために一定の間隔で粗動波は発生している状態なんですね。
心臓の動きをイメージすると、心電図もみえてくると思います。まずは、心臓の動きを思い描きましょう。
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