目次
トレンドグラフとは
トレンドグラフという言葉を聞いたことはあるでしょうか?
実は、心電図モニターには心電図装着患者の心拍数を時系列に表示する機能があります。
それが、トレンドグラフという機能です。
心拍数を時系列に表示するということに、どのような意味があると思いますか?
心電図モニターでは、24時間持続的に心拍数を測定し記録しています。その心拍数を折れ線グラフと同様につなげていくことで、グラフとして表示されます。
そうすることで、その心拍数をトレンドグラフで形として見ることができ、不整脈の判断材料となるものがあるのです。
どういうことかは、これから説明していきます。
最後まで読むころには、これからはトレンドグラフも見たくなると思いますよ。
まずは、基本となる洞調律でのトレンドグラフからです。
洞調律でのトレンドグラフ
まずは、上図に示した基本となる洞調律(SR)のトレンドグラフから見ていきましょう。
縦軸がHR(心拍数)で、横軸が時間です。
この図を見ていくと、この患者は心拍数がだいたいですが60回/分以上、100回/分以下くらいで経過していることが分かります。
さらには、心拍数は就寝時にはゆっくりとなり、日中の活動している時には速くなってきていることも分かりますね。
洞調律では、このように線のように見ることができることが特徴です。
この形が基本となるのでしっかりと覚えておきましょう。
心房細動でのトレンドグラフ
次は、心房細動(AF)のトレンドグラフです。
心房細動では、R-R間隔が不整となります。つまりは、心拍数が常に大きく変動していることになります。
そのために、その心拍数を線でつなぐと図のように線のようには見えないのです。
洞調律と心房細動では、心電図波形を見なくてもトレンドグラフを見るだけで予測ができてしまうのですね。(※判断には心電図波形もしっかり見ましょう。また、確定診断には12誘導心電図が必要ですので忘れずにいてくださいね。)
トレンドグラフの応用
基礎的な洞調律と心房細動のトレンドグラフについて知ったところで、今度は応用編です。
ここでは、特徴的な形をしている3つのトレンドグラフを見ていきたいと思います。
発作性心房細動のトレンドグラフ
まずは1つ目の、発作性心房細動(PAF)のトレンドグラフです。
発作性心房細動とは、基本調律が洞調律であったものが、急に心房細動へ移行するものをいいます。
心房細動は頻脈性の不整脈ですので、洞調律よりも心拍数が上昇します。
図では、急激に心拍数が2回上昇していることが分かります。さらには、心拍数が上昇している間にはトレンドグラフが心房細動と同様に線のようには見えていませんね。
これが、発作性心房細動(PAF)のトレンドグラフの特徴です。洞調律と心房細動のトレンドグラフについて知っていれば分かりますね。
心房粗動でのトレンドグラフ
続いては、心房粗動(AFL)のトレンドグラフです。
心房粗動はリエントリー性の不整脈のためR-R間隔が規則的で、4:1が一番多く、続いて2:1が多いですね。
R-R間隔が規則的ということは、心拍数の変動が一定となるということです。
心拍数が一定であるため、トレンドグラフでは直線のように見えることが心房粗動の特徴です。
この図では、途中から心拍数が上昇し、また直線に。そして、また心拍数が元に戻り、直線になっていますね。
これは、もともとが4:1の心房粗動であったものが、2:1となり、また4:1に戻ったことが分かりますね。
トレンドグラフが直線の場合
最後は、トレンドグラフが直線の場合です。
これは、心房粗動であることが考えられますよね。
しかし、心房粗動以外でもトレンドグラフが直線になる場合があります。
それは、ペースメーカー植え込み後の患者です。
ペースメーカーでは、自己心拍が設定心拍数以下になっている場合は、ペースメーカーの設定心拍数になります。
そのため、ずっとペースメーカーの設定心拍数である場合には、トレンドグラフは直線のようになるのです。
まとめ
どうだったでしょうか?
トレンドグラフの特徴を覚えておくと、不整脈を判断する時に役立つ場合があります。
モニター心電図を見るときには、トレンドグラフもあわせて見ていくようにしていきましょう。
コメントを残す