循環器の疾患がある患者に対して必ず心エコーという検査が行われます。
心臓の動きを非侵襲的に観察することができます。
患者にとっても痛みがなく嬉しい検査ですね。
主に、医師や臨床検査技師が携わることが多いです。
看護師では苦手意識を持っている人も多いと思います。
しかし、これから紹介する3項目に注目することができれば大丈夫です!
これで、あなたの心エコーに対する意識も変わることと思います。
目次
心エコーで見るべき3項目
心エコーで見るべきなのはこちらです。
①EF(駆出率)
②E/A比
③IVC
詳しくはこれから説明していきます。
EF(駆出率)
EFとは左心室に流入した血液が、どの程度の割合で左心室から流出したかを表す指標です。
60%以上を正常としています。
この値が低いと、左心室の収縮能が低下しており、心不全の指標として使用されます。
どういうことかを例として表します。
左心室へと100mlという血液が拡張期に流入したとします。
収縮期に70ml流出した場合にはEFは何%だと思いますか?
答えは70%ですね。
このような形で、左心室の収縮能の指標としてEFが役に立ちます。
しかし、EFを見ていく際には気をつけなければいけない2点があります。
それは、EFは左心室から流出した血液の割合を表す指標であると言うことです。
どういうことでしょうか????
1つ目として、左心室から大動脈へ流出した血液の割合ではないということです。
MR(僧帽弁閉鎖不全症)により収縮期に多量に左心房にも血液が流出した場合にも左心室から血液が流出したということになります。
この場合ですと、EFは正常値であるにも関わらず心不全が悪化してしまっている可能性もあるのです。
2つ目として、EFが低いと一般的には血圧も低値になりますが、EFが正常値でも血圧が低値になる疾患もあるというということです。
例として、甲状腺機能亢進症による心不全です。
甲状腺機能亢進症による心不全では、代謝が亢進することで心拍数が増加します。
それに伴い、心拍出量も低下し血圧が下がります。
しかし、左心室に流入している血液を、収縮時に流出することができているためEFは正常となります。
このような病歴も考えながらアセスメントすることによって、指標としてのEFがより活用することができます。
E/A比
E波とは拡張早期波
A波とは心房収縮波
といいます。
左心室が拡張することに伴い、左心室は陰圧状態となり急速に左心房から血液が流入します。
その早期拡張期の血流最高速度を計ったものがE波(拡張早期波)です。
そして、拡張期の後半で左心房が収縮した時に再び血流速度が上昇するため、その最高速度を計測したものがA波(心房収縮波)です。
正常としては1.0~2.0と言われています。
若い健常者ですと、心臓の動きがよく、左心室が勢いよく収縮することにより強い陰圧がかかります。
そのため、一気に左心室へと血液が流入します。
つまり、E波が高くなります。
そして最後に少し残った血液を左心室拡張後期に少しだけ左心房が収縮してあげるため、A波は低くなります。
若い健常者ではE/A比は高くなります。
逆に、高齢者ではどうでしょう。
心臓は加齢に伴い硬くなっていってしまします。
そのため、左心室の収縮は緩やかです。
陰圧も弱く、拡張早期ではあまり血液が左心室へとは流入しません。
つまり、E波は低くなります。
陰圧が弱く、左心室へと血液が左心室が流入しないということは左心房に血液が多く残ってしまうということです。
若い時には左心室拡張後期に少しだけ収縮するだけでよかった左心房も、血液が多く残っている状態では大きく収縮しなければなりません。
左心房が大きく収縮するということは、それだけ血流速度が上昇します。
結果としてA波が上昇します。
若い健常者では
E波↑/A波↓
逆に高齢者では
E波↓/A波↑
となります。
E/A比は左心室の拡張能を評価するために必要とされます。
心不全の拡張障害がある場合E/A比は
軽度の場合には左心房の収縮能の障害は軽度であるため、その収縮能に頼ることができ低くなります。
重症の場合には左心房の収縮能の障害も重度となっているため高くなります。
IVC
IVCとは下大静脈径の計測値を表しています。
これは、心不全でボリュームオーバーとなっているかを判断することができます。
正常では15mm程度で呼吸性の変動があります。
しかし、ボリュームオーバーとなっている場合には、IVCは25mm以上と正常値よりも太くなり呼吸性変動もなくなってしまいます。
ボリュームオーバーの場合には血管内の水分が多くなってしまっているため、利尿剤などで体外へと排出します。
ちなみに、10mm以下ですと脱水が考えられます。
まとめ
どうだったでしょうか?
この他、胸部レントゲンや検査データ、自覚症状、バイタルサインなど心不全を総合的に判断していくことになります。
今後、心エコーを見るときには目安にしてみてください。
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